ヤママユは大きな蛾です。
その繭はシルクの原料でもあり、我々にはありがたい存在です。
でも、大きなヤママユが灯火の回りを飛ぶ姿を嫌う人も。
非常に美しい蛾なのですが・・・
「蛾=汚い」というステレオタイプのとらえ方が一般化しているせいでしょうか。
一方のオオスカシバは、蜂と間違われることがしばしば。
それはオオスカシバの望むところで、蜂に擬態しているのです。
こちらも身近な蛾ですが、上記のように蜂と間違われるせいで・・・
怖がられていたりするのです。
ヤママユとオオスカシバはどちらも蛾。
でも、違いがあります。
ヤママユは大きな翅を使って風に乗ってゆったり舞います。
一方のオオスカシバは、翅を小刻みに動かしホバリングもできます。
ホバリングしながら長い口吻を伸ばして吸蜜する姿をよくみかけます。
そして、飛翔速度が非常に速く、慣れないと見失います。
翅を動かすのには多大なエネルギーが必要ゆえ盛んに吸蜜。
ヤママユのように風を利用するわけではないため、自家エネルギーです。
ヤママユは風を利用するせいで省エネ。
だからでしょう。実は口の部分が退化しています。
成虫になってからは食餌を口にすることなく、ひたすら舞うだけ。
それは、子孫を残すための行動です。
大きな翅を使って舞い、恋の成就を目指すだけなのです。
灯火の回りを舞う姿は、命の最後のきらめきでもあります。
そう考えると、美しいと思えるのではないでしょうか。