映画化されて話題になった「クリムゾンリバー」。
ジャン・レノが一匹狼の刑事を演じた作品です。
その原作者がジャン=クリストフ・グランジェ。
数年に一作のペースで作品を発表しています。
その作品群からは血の香りが漂ってくるのです。

被害者は陰惨な殺され方をするケースが多く、行間に血の匂いがたちこめます。
映像化には実は不向きな内容でもあります。
とはいえ、解明される謎の設定の面白さに人物造形の巧みさは残虐性を上回ります。
登場するのはナチスの残党やカルト教団等々。
「ミゼレーレ」にはオウム真理教に触れる箇所があります。
「死の烙印」に登場するメンガ-ホイゼン医師は、ナチスの「死の天使」ヨーゼフ・メンゲレを思わせます。
捜査官である刑事も精神的な問題を抱えていて、それが微妙に事件解明に関わります。
その精神面の弱さや極端さが魅力にもなっているのです。
フランス伝統の心理サスペンスに警察小説と冒険小説の要素を取り込んだ作品群。
これらは堪えられない面白さで、私を魅了しています。
最新作の「死の烙印」のラストには仄かな希望の光を感じられます。
これもまた魅力のひとつ。
ポケミスで初の上下2巻になった大作です。
上下とも買うと7150円。
でも、高い満足度をお約束できます。
