つい先日、NHKで「眠狂四郎」を観賞。
長谷川博己さんの狂四郎は予想以上の出来栄えでした。
狂四郎の虚無感を表現できる役者はなかなかいません。
映画の市川雷蔵さんはどこかやわらかさを感じさせました。
テレビ版の片岡孝夫さんはやさしさが目に出ていました。
歴代の狂四郎を全てみたわけではありませんが、決定版は田村正和さんでしょう。
私が田村さんの狂四郎をみたのは1話だけ。
中学生の頃でした。
深夜の再放送で、田村狂四郎にしびれてしまったのです。
伊吹吾郎さんがゲスト出演していた回です。
剛直な伊吹さんに対し、田村さんが「眠、狂四郎と申す」と返します。
なんともいえない厭世観を漂わせていました。
その後、田村狂四郎をみるチャンスがないままに過ぎています。
今回の長谷川さんの狂四郎はかなり雰囲気が出ていました。
長谷川さん自身が狂気を目に宿すような演技を得意としているように思います。
ドラマで人気を高めたのは「セカンドバージン」。
世の奥様方の胸を熱くしました。
今回は狂四郎になりきった熱演でした。

眠狂四郎はダークヒーローです。
カネをもらって人を斬る。
正義の味方でもありません。
私は、時代劇ではこういう人物に惹かれます。
座頭市・鬼一法眼(唖侍)・拝一刀(子連れ狼)・藤枝梅安(必殺仕掛人)。
すべてまっとうな生き方をしていない人たちです。
拝一刀と藤枝梅安は完全な殺し屋さん。
狂四郎も同じです。
こういった人物が登場すると、その時代に対する批判的な視点がしっかり描かれます。
「水戸黄門」「大岡越前」「江戸を斬る」といったTBS月曜8時の時代劇は逆。
すべて権力者側が主人公。
たしかに正義の味方として活躍するのですが、主人公の心の陰影を感じないのです。
哀しみや苦悩を背負ったダークヒーローこそ時代劇の主役!
私はそう思っています。
長谷川狂四郎の第二弾に期待したいと思います。
