自由と秩序ーなにやら政治体制の話っぽいのですが・・・
そうではなく組織の雰囲気の話です。
最近は経営者でもラフなスタイルでマスメディアに登場することがあります。
おそらく、アップル社の故スティーヴ・ジョブズの影響でしょう。
黒のタートルネックにジーンズというスタイルは彼の象徴でもありました。
彼ほどのカリスマ経営者ならそれもあっていいでしょう。
しかし、多くの「普通の経営者」が職場でそれをやるとどうか?
自由な雰囲気が醸し出され、組織の風通しがよくなるかもしれません。
明るい雰囲気が演出され、心地よい労働環境になる可能性があります。
一方で、秩序が乱れていく懸念もなくはないのです。
メンバーの誰もが経営者と同じ目線を持つわけではありません。
気が緩んでしまう恐れは多分にあります。
私もサラリーマン時代に組織を統轄する立場でした。
部下はせいぜい20名程度ですが、一応は組織です。
夏はノーネクタイが許されましたので、そうしました。
ただし、ジャケットは常に着用してポケットチーフをあしらう。
パンツはプレスが効いたものを穿く。
靴は常に磨き上げておき、髪型を調えるのはいうまでもない。
こういう感じで、カジュアルな中にもカッチリしたムードを出すようにしていました。
それは、トップがダラーッとした恰好だと組織全体が緩んでしまうからです。
故野村克也氏の「組織はリーダーの力量以上には成長しない」という言葉は真理です。
同じことを京セラの創始者である故稲森和夫氏も述べているようです。
力量は当然ですが、まずは雰囲気。
組織が機能するかどうかは雰囲気によるところが大きいのです。
仮に、トップが非常にラフな雰囲気の組織が成長したとしても・・・
「高転びに転ぶ」(安国寺恵瓊が織田信長の将来を予測した言葉)可能性が高いでしょう。
フレンドリーで明るいトップとは腹を割った話ができるように思われます。
でも、雰囲気がラフすぎると腹を割れないのです。信用できるかな?と思ってしまいます。
トップがユルイ服装だと組織にも緩みが出ます。
部下には自由な働きやすい服装を勧め、トップはそれなりのスタイルを保つ。
この辺がバランスとして大事ではないかと思います。
たかが見かけですが、人の心理に及ぼす影響は非常に大きいのです。
だからこそ社会人として重要なのは「スーツだよ」と部下に指導することになるのです。