10月 4日の記事で紹介したタテハモドキ Junonia almana が越冬前の吸蜜に余念がありません。
1991年に宮崎に住んでいた頃,この蝶は秋になると爆発的に個体数を増やしていました。
その原因は解明されていて,食草が大量に供給される環境が作り出されることにあります。
宮崎では早場米を出荷します。この刈り入れは6月頃です。
その後,二毛作へ・・・ではなく水田はしばらく放置されます。
コメ余りの時代ゆえの現象でしょう。
そこにスズメノトウガラシ(今は2種に分けられたようです)が繁茂。一面を覆います。
これに第一化の夏型成虫がガンガン産卵するのです。
その後に第二化の夏型成虫が出現し,さらに産卵,そうして秋型の羽化という流れです。
春先に越冬から目覚めた個体はオギノツメに産卵しますが,オギノツメは水田の周囲や
用水路の周りなどに生えていて,スズメノトウガラシほど旺盛に繁殖しているわけではありません。
北上を重ねて糸島でもみられるようになった本種ですが,スズメノトウガラシを当地ではみません。
秋まで水田にはイネが生えています。
おそらくオギノツメを頼りに生きているのでしょう。
それゆえ個体数が爆発的に増えることがないのだと思われます。
それでも別の食草であるイワダレソウが人為的に植えられ,そこに幼虫がいるのをみています。
イワダレソウは暖かい海岸沿いに自生しています。北部九州ではみることがありませんでした。
それが人の手で一時的に植えられた結果,発生できたようです。
あるいはヒメイワダレソウと交配された園芸品種を植えていたのか?
そのあたりのことはよくわかりません。