司法書士は裁判所に提出する書類作成をすることができます。
私などは、この業務が仕事の幹になっています。
私が所属する福岡県司法書士会には支部が6つ。
私は福岡西支部に属しています。
この福岡西支部は、中央区の一部と早良区・城南区・西区と糸島市。
昨年末の段階で司法書士は140名います。
このうち民事事件の裁判書類作成を取り扱っているのは僅か23名。
家事事件に関する裁判書類作成を取り扱っているのは38名。
つまり、多くの司法書士は裁判所へ提出する書類作成をやっていないのです。
この裁判所提出書類作成業務は、簡裁代理権の有無とは無関係。
どの司法書士も取り扱うことができるのです。
なのに、このくらいの人数しか扱っていません。
では、簡裁代理権についてはどうでしょうか。
福岡西支部では140名中120名が簡裁代理権を有しています。
つまり、85%の司法書士は認定司法書士(福岡県全体では86%です)。
簡裁代理権を持っていない司法書士の方が珍しいのです。
では、その代理権を活用しているか?
簡裁訴訟の代理業務をやっているのは10名です。100名の誤りではありません。
裁判外和解の代理業務をやっているのはたったの14名。
ということは、簡裁代理権を持っていても使わない人が大多数ということです。
これはかなり凄い数字ではないかと思います。
叱られることを承知でいえば、多くの司法書士は「名前だけ認定司法書士」だったり、
あるいは「認定司法書士というアクセサリー」を身につけている状態です。
法律は紛争が起きないようにルールを作っておき、いざ紛争になれば解決の基準となるもの。
その法律を扱いつつ、中には「法律家」を標榜する人がいるのに、実態はこういう感じです。
これは福岡西支部だけの傾向ではありません。
福岡県司法書士会全体が、そして日本の司法書士全体がこういう状況です。
需要がないーという意見もあるかもしれません。
けれども、私自身のことをいえば、需要はあります。
特に掘り起こすような努力などしていません。
今、日司連(日本司法書士会連合会)は家事代理権の獲得を目指しています。
でも、獲得できた簡裁訴訟等の代理権を使いこなしていないのが現状。
家事代理権を欲しがる前に、現状を変える方が先でしょう。
開業間もない方が、「仕事がない」と嘆いていると聞きました。
簡裁訴訟等代理権を使って仕事をすれば、そういう嘆きとは無縁になる可能性があります。
でも、多数の司法書士が参入すると、私が干上がるかもしれません。
★ 私のデスクの上にいつもある本といつもいる猫