「アイリッシュ」といってもブッシュミルズやジェイムスンのことではありません。
作家ウィリアム・アイリッシュのことです。
アイリッシュは、コーネル・ウールリッチ名義でも多数作品を発表しています。
本名は、コーネル・ジョージ・ポプリ―=ウールリッチ。
なお、ジョージ・ポプリ―名義の作品もあります(我が国ではアイリッシュ名義になっています)。
たとえば、「夜は千の目を持つ」はポプリ―名義で発表され、我が国ではアイリッシュ名義の出版。
彼は1903年生まれ。生きていれば120歳です。
多数の名作を世に送り出しましたが、生活ぶりはかなり変わっていたようです。
葬儀にはほとんど参列者がなかったようですが、預貯金は当時で100万ドル。
おカネがあっても寂しい晩年を送ったようで、それはなぜなのか?
おカネがないと人は離れてしまい、孤独な老後を迎える
ー私はこういうケースをたくさんみています。
お金持ちのアイリッシュの周囲に人がいなかったのはどうしてか?
謎多き作家です。もしかすると、人格的に問題があったのか?
伝記が出版されたのですが、既に絶版で入手が難しくなっています。
かなり変わった人だったのは間違いないらしいのですが、よくわかりません。
ですが、作品は一級品揃いです。
中でも「幻の女」は超一級品で、不朽の名作と呼ぶにふさわしい作品です。
映像化作品も少なくありません。
フランソワ・トリュフォー監督の「暗くなるまでこの恋を」は「暗闇へのワルツ」の映画化。
ベルモンドにドヌーブ、そしてミシェル・ブーケの共演です。
★ 左 ジャン=ポール・ベルモンド
右 カトリーヌ・ドヌーブ
アルフレッド・ヒッチコック監督の「裏窓」は、ウールリッチ名義の短編を原作にしています。
ジェームズ・スチュアートとグレース・ケリーの共演で、世界的な名作とされます。
★ 左 グレース・ケリー
右 ジェームズ・スチュアート
アイリッシュが亡くなってからは55年。
昔の作家ではありますが、今もその作品は再読に耐えるクォリティです。
これだけのサスペンス小説を書く作家はもう現れないかもしれません。
私は国内で入手できる長編すべてを所有しています。
短編集もできるだけ手に入れるよう努力しているところです。
アイリッシュ作品は非常におもしろいので。