表現への疑問
ちょっと疑問を感じていることを書いてみます。
NHKのニュースなどでも「原則できません」という言い方をアナウンサーがしています。
NHKが堂々と公共の電波に乗せる表現です。すでに定着してしまっているといえそうです。
我々がお世話になる実務書でもみかけます。
ある実務書を読んでいて,あまりにもこの表現が目につくのでブログに取り上げることにしました。
さて,この表現は日本語として正しいのでしょうか?
辞書・辞典での扱い
辞書や辞典では「原則できません」のような表現は見当たりません。
私の認識でも「原則としてできません」と書くのが普通であり,常識だと思います。
しかし,世の中では普通に「原則できません」という表現が使われています。
私はかねがね違和感を覚えていました。
辞書・辞典にこの使い方が載っていなかったので安心した次第です。
俗語に過ぎない
さて,「原則できません」を使い始めたのは誰でしょうか?
「と」は格助詞,「し」は動詞「す」の連用形で,それに接続助詞「て」をつけるのが面倒だと思った人かもしれません。
日常会話などで使うことはあっても構わないかもしれませんが,小説の中での会話表現を除き,
文字媒体でこの表現を使うのはいかがなものでしょう?
仮に,「原則できません」が文字媒体における表現として許されるなら,
「速やかに行う必要があります」を「速攻行う必要があります」と書くこともできるでしょう。
しかし,「速攻」「ソッコー」は誰がどうみても俗語ですから,そういう書き方をすることはあり得ません。
校正段階で担当者に「変えてください」と言われるはずです。
結 論
以上を前提に,私は「原則できません」という表現を少なくとも文字媒体においては使うべきではないと考えます。
それゆえ,当ブログでも原則として「原則できません」のような表現はいたしません。
「原則として」と書いたのは,おかしな表現の文章からの引用や会話を表現する場合を例外とする意味です。