債務整理を受任し、債権者2社との交渉を終えました。
借入れから長い時間が経っていないケースでした。
しかし、債権者からの理解と協力もあって、スムースな返済ができる結果に。
債務者も返済原資を得るべく転職して努力しています。
仕事にも慣れつつあるようです。
初めて相談を受けた際の思いつめた表情に変化がありました。
穏やかな微笑みを浮かべていたのです。
ああ、これはいい仕事になったかもしれないな。
そう感じました。
登記申請は苦境を救う仕事ではありません。
寧ろ、おめでたいケースに付随することも多いのです。
司法書士が「平和産業」と呼ばれるのは、この登記業務中心だからです。
一方、債務整理は、基本的に厳しい状況を好転させる仕事です。
利害が対立する債権者と債務者。
経済的にも心理的にも沈んでいる債務者の状況を上向きにしなければなりません。
難しい条件の場合もあります。
借入れてから間もなく返せなくなった場合がそうです。
債権者の立場では「そりゃないよ」ということになるでしょう。
多少なりとも儲けさせてもらっていれば、将来の利息カットにも応じるでしょう。
儲けが出ていないようでは、そうそうおおらかな対応はできません。
債務者の代理人としては交渉に苦労するところです。

今回は、債権者がかなり広い心で対応してくれたので助かりました。
そういう場合、私は和解契約書(示談書)を送る際に必ず感謝の言葉を添えています。
貴社の度量ある対応のおかげで助かりました、と。
時には、「破産手続に入るので返せません。ごめんなさい」というケースもあります。
こういう場合も「返せんのは当然だろうが!」みたいな対応はしないようにしています。
「今回は事情が事情なので申しわけない」旨を伝えます。
債権者側は多くの債務整理事件に対応しています。
中には敵対的な交渉をする弁護士や司法書士もいるそうです。
私は、「返すべきものは返す」を基本原則にしています。
それを前提に、「債権者も納得でき債務者も救われる」解決を目指します。
たしかに利害が対立する相手ではありますが、債権者とは協力しなければなりません。
だから、破産のときは「ごめんなさい」を伝えるようにしているのです。
今回は、債権者に「ありがとう」というべきケースでした。
そして、こういう結末になると債務者も気持ちよい解決として納得できるのです。
今回は、任意整理のよい面がたくさん出た事件でした。
債務整理は、債権者を打ち負かすことではありません。
無論、私は債務者の代理人ですから債務者の利益第一で対応します。
けれども、債権者をやっつけることなどは考えません。
そもそも、債権者には罪はありません。やっつけるべき相手ではないのです。
「返すべきものは返す」
その返し方を債務者にとってよい形にするよう債権者に協力を仰ぐ。
それを、債権者に対してしっかり伝えて理解を得る。
これが代理人の任務でしょう。
任意整理のポイントは、債権者に理解を得ることに尽きるような気がします。
こういう債務整理の仕事を回避する司法書士が多いのは残念でなりません。
債務整理には、交渉人としての仕事の醍醐味が詰まっているというのに。
