我々司法書士は仕事上の名乗りを使うことができます。
たとえば,私が高橋英樹ではなく「大友勝利」とか「広能昌三」のような名前を使うこともできるのです。
ちなみに上記2つは映画「仁義なき戦い」で人気があるキャラクターです。
そこで私は考えたのです。「リュウ・アーチャー」を名乗ってみたい,と。
さすがに全部カタカナだと「タケカワユキヒデ」みたいになるので,
日本人風に「厚谷隆」とか「隆敦也」あたりがいいかな,と思いました。
特に後者を気に入り,「隆敦也司法書士事務所」にすれば,わかる人にはわかるだろうと,
一人で悦にいったのです・・・が,やはりやめました。
私は本名が芸名みたいなものなので,そのままにしています。
ところでリュウ・アーチャーとは?
米国の作家ロス・マクドナルドのハードボイルド小説の主人公です。
拳銃をぶっ放し,酒と女に強く・・・ではなく,心理学者のような探偵が関係者へのインタビューを重ねながら
家族内部の病の本質に迫るような小説です。
アーチャーはレイモンド・チャンドラーが創造したフィリップ・マーロウのようにシニカルではないし,
小説にも「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」というような名セリフがあるわけでもありません。
でも私にはチャンドラー作品よりもマクドナルド作品がしっくりきます。
高校生の頃からそうでした。
その頃は,なぜマクドナルドの作品が自分にしっくりくるのかはわかりませんでした。
今はよくわかっています。
鬱の原因にたどりつく際にもアーチャー探偵のインタビューを受けるような気持ちで記憶を掘り起こしました。
手八丁口八丁ではなく,依頼人の悩みをアーチャー探偵の如く冷静に受け止めることができる司法書士。
これが私の抱く司法書士の理想像です。