「とことん相手をやっつけてほしい!」
「完全勝訴の判決が出れば、全額払わせることができる!」
「きっちり相手に落とし前をつけさせないと気が済まない。示談なんてとんでもない!」
私たち司法書士が訴訟の相談を受ける機会は多くありません。
たまにそういうご相談があった場合、上記のような発言が出ることがあります。
そういう場合の私の答えは相談者にとって「あれ?」という感じかもしれません。
「いやいや、判決を得たからといって完全に回収できるわけではありませんよ」
「だって裁判所の判決ですよ、裁判所がきっちり取り立ててくれるじゃないですか」
「裁判所は取り立ててくれません。相手が判決に従うとは限りません」
「でも強制執行すれば・・・」
「執行できる財産があるかどうか。預金だって事前に引出して隠すでしょう」
「テレビとか冷蔵庫とか差押えてやればいいんですよ」
「保管場所を準備し、運送会社を手配して費用を負担するのはこちらです」
「でも・・・」
「それに差押えた動産を競売で売れるでしょうかね?」
「じゃあ判決が出ても一銭にもならんのですか?」
「その可能性はあります」
「じゃあどうしたら?」
「訴訟を起こし、相手が裁判所に来れば和解しましょう」
「そんな!手ぬるいですよ!」
「いえいえ、和解だと相手も納得して払うことが多いのです。自分で約束したのですから」
「そんなものですか?」
「自分の意思で『払います』という以上、約束を守る可能性が高いのです」
「へえ~」
世間一般では「判決>和解」です。
しかし、確実性を重視すると和解が一番。
我々は「履行可能性が高いかどうか」を考えます。
依頼者である原告の最終目的はできるだけ多く回収すること。
そうすると、被告が払う可能性を高めるような処理が望ましいのです。
民事の争いを解決するには和解が最もよい方法。
裁判上の和解であれば、将来、被告が支払わなかった場合に和解調書を使って強制執行も可能。
ほかにも裁判外紛争解決手続(ADR)でも強制執行をできることがあります。
私が紛争解決にあたる場合は、まずは普通に示談交渉をします。
それでらちがあかない場合は訴訟等の手続を使います。
その場合でも和解による解決を目指します。
判決に至るのは、話がつかない場合か相手方が裁判所にやって来ない場合です。
クロウト的にはこういうスタンスです。
我々の成功報酬は回収金の何パーセントという歩合みたいな設定が多いのです。
判決まで至った場合、
「ああ、回収できんかもな。オレの成功報酬はどうなるんじゃ?」
と思ってしまうのです。
反対に、被告側代理人で敗訴判決(払え)をくらっても簡単に引き下がったりはしません。
判決額を切り下げる裁判外の和解交渉に入ります。
たとえば、「125万円を払え」という判決が出たとします。
「125万円を用意するのは難しいですが、2割カットで100万円!
これなら即時一括で払うので(まけてください。頼んます!)」
というような交渉です。
これができなければクロウトではないでしょう。

★ 有斐閣から出ている「和解の基礎と実務」
これを読んでも和解交渉はうまくなりません。 適切な和解条項の作り方を調べるための本です。
