私が好きな小説分野に「スパイもの」があります。
イアン・フレミングの007シリーズとは異なるタイプのもの。
古くはエリック・アンブラーの諸作。
アンブラーの作品は、国際的な謀略に素人が巻き込まれるパターンが多い点が特徴。
プロのスパイの話ではありません。
プロのスパイを描くのはジョン・ル・カレやレン・デイトン。
さらには、マイケル・バー=ゾウハ-やブライアン・フリーマントル。
ケン・フォレットの作品も面白いのですが、冒険小説の色合いが濃いと思います。
その中でも燦然と輝く傑作はこれでしょう。

この本を買ったのは1981年。
高校2年生の時分でした。
その後、何度か読んでいますが、そのたびに面白さを味わっています。
ル・カレは6年前に亡くなりました。
彼は多くの傑作を残しており、それをすべては読んでいません。
映画化されたものも観ていません。
なぜかといえば、ル・カレの小説を完璧に映像化することは難しいように感じるから。
きっと、映画に失望するだろう。
そう思っています。
「寒い国から帰ってきたスパイ」は映画の邦題が「寒い国から帰ったスパイ」でした。
この作品は1963年のモノクロフィルムのもので、リチャード・バートンが主演。
原作を読んだ立場からは「まあまあかな」くらいの映画でした。
読んでいないル・カレの作品を読んで、映画も観る。
私にはその時間がまだ残されています。
ル・カレと同じ世界に行くのは先の話だと思いますので。
つまり、まだまだ楽しい時間はたっぷりあるということです。
ソ連崩壊による東西冷戦終了がスパイ小説の作家の失業につながる。
そういわれましたが、そうはなりませんでした。
国際社会は却って複雑化し、覇権主義国家対民主主義国家という図式が現れました。
それは、思想の対立ではなく社会観の違いが生む対立です。
これを描くにはスパイ小説が最適でしょう。
私はこれからもスパイ小説を読み続けると思います。
