写真はアカタテハ Vanessa indica です。
ランタナで吸蜜しています。
本種は成虫で越冬するために秋が深まるにつれ,吸蜜する姿をよくみるようになります。
アカタテハの主要な食草はカラムシ(イラクサ科)です。
このカラムシから繊維をとりだし,織物にする文化が我が国には古くからあります。
宮古島特産の宮古上布はカラムシからできています。宮古島ではカラムシを苧麻(ちょま)と呼び、栽培しています。
この宮古上布にかんする話は高樹のぶ子さんの作品「サザンスコール」にかなり詳しく書かれています。
これがカラムシです。道端にも生えています。
次の写真は キタテハ Polygonia c-aureum の秋型です。
いわゆる普通種で,幼虫はカナムグラ(アサ科)を食べて育ちます。
キタテハも成虫越冬する蝶です。
この季節にはカキの腐果やセイタカアワダチソウに群がっている光景をみます。
キタテハといっても黄色というわけではありません。裏面はこういう感じです。
枯葉に擬態しているようです。
学名の“c-aureum”は「金色のc」を意味し,後翅裏面に入っている模様に由来します。
近縁種のシータテハは学名が Polygonnia c-album で,こちらは「白いc」です。
シータテハは九州では分布が局限された稀種です・・・が,私は宮崎在住時に分布調査を行い,
意外に広く分布していることを確認しています。
最後はアカタテハとキタテハの共演です。
ほかにも同じく成虫越冬のルリタテハやクロコノマチョウが上記2種とともにカキの腐果に群がる姿を目にします。
蝶達が迫りくる寒さを前にして最後の酒宴を繰り広げているようなイメージです。
なお,撮影は以下の方の縄張り巡回同行時に許可を得て行いました。