写真はカラスアゲハ Papilio dehaanii です。
ランタナの花で吸蜜していた個体ですが，風が強かったのでうまく撮影できませんでした。
それでも美しさは十分に感じていただけると思います。
カラスアゲハにかんしては，学名の変更がありました。
もともと Papilio bianor だったのですが，この学名を命名した際に使われた標本は
八重山諸島産のカラスアゲハのものでした。
ところが，この八重山諸島のカラスアゲハは別種であるということになったのです。
和名はヤエヤマカラスアゲハになったのですが，学名はもともとヤエヤマカラスアゲハの標本が
カラスアゲハ Papilio bianor とされていたので，ヤエヤマカラスアゲハがこの学名になりました。
カラスアゲハは亜種名だった dehaanii を種名に格上げすることで決着しています。
なお，台湾にはタイワンカラスアゲハ Papilio dialis がヤエヤマカラスアゲハと共に生息しています。
与那国島で蝶の採集や調査をやっていると，時々ですがタイワンカラスアゲハっぽい個体を目にしました。
与那国島にはタイワンカラスアゲハはいません。
台湾から飛来した個体か，あるいはそれとヤエヤマカラスアゲハの交雑個体なのか？
カラスアゲハの仲間は普通種ですが，調べて面白い種のひとつです。
我が家兼事務所の隣の公園近くには主要食樹のカラスザンショウが多く，
本種以外にもモンキアゲハ Papilio helenusやクロアゲハ Papiｌio protenor が発生しています。