福岡県糸島市 司法書士 ブログ

自筆証書遺言書保管制度の利用

初の遺言書保管申請

ちょっと福岡法務局飯塚支局に行ってきました。

 

高齢者の自筆証書遺言書についての保管申請のためです。

昨年7月からスタートしたこの制度ですが, 法務局の職員さんによると

「ポツポツと」申請があるくらいで, 人気沸騰というわけではないようです。

私にとっては初の申請です。仄聞するところでは,経験するために自らの遺言書の

保管申請をする司法書士がそこそこいるようです。

書類作成は簡単で以下でダウンロードできます。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00048.html

添付する書類は住民票の写しでOKです。

この制度を利用するには印紙代3,900円と上記の住民票の写し300円が

かかるくらいです。 家庭裁判所の検認が不要となるというのは大きなメリット。

もっと利用されてもよさそうですが・・・

時間が・・・

保管申請はすべてネットでの予約になっています。 飯塚支局の場合は,

1日あたり4名までの予約ということで, 1申請あたり90分くらいの時間が設け

られています。そんなにいるのかなぁ?と感じました。

申請書類を提出するとチェックがあり, 手直しが必要な場合はその場で手直し,

職員さんの親切なアドヴァイスを受けつつ, このプロセスは20分程度で終わります。

ここからがちょっと問題。

「今から入力および審査が行われます。時間としては1時間弱かかります。それまで

ここ(面談室)でお待ちになりますか?外に出られるなら電話でお呼びできますが」

 

1時間弱もかかるのです。高齢者だとゆっくり休めるような場所に移動し,そこで

休憩をしなければなりませんが, 1時間弱というのは長いようで中途半端。いっそ

2時間くらいかかった方が他の用事を済ませることができます。何事も動きがゆっ

くりの高齢者にとっては使い勝手が悪い「1時間弱」。 付き添った司法書士はその

時間をどう過ごすべきでしょう?この時間分の日当を頂戴するのも気が引けます。

思わぬトラブル発生

1時間以上経過しても電話がないので, 法務局に戻ったところ, ちょうど電話が

入りました。ほっとしたのもつかの間, 「システムトラブルで保管が完了していない。

システムの復旧などを含めると完了は16時から17時になります」というのです。

10時30分から11時50分までの予定が, 丸1日の仕事になってしまいます。

法務局側は, 特定記録郵便で遺言者本人に完了証を送付するという申出をして

くださり, その場は郵送をお願いして一旦帰りました。

14時30分に「システムが復旧し,手続きがすべて完了しました」という電話が入り,

まだ依頼人と一緒にいた私は, 再び法務局に向かいました。 そして, 無事に保管証を

受領するに至りました。

 

一貫して法務局の職員さんは親切かつ丁寧に対応して下さり,感謝しています。

システムトラブルはたまたまのこと, 東証で取引がストップして多額の損失を被る

ような話ではありませんので, 当方に不満は残りませんでした。

改善点があるのでは?

この制度は最初に述べたように「ポツポツと」申請があるということですが,

予約制で1日あたりの申請者数が限定されているし, 待ち時間が発生するため,

使い勝手がいまひとつのような印象を受けました。

遺言者本人が出頭することによる確認は必要かもしれませんが,これも我々司法書士や

弁護士に任せて「本人確認情報」を提供させ, 郵送申請を認め, 完了証も郵便で返却

するような形にした方がよさそうな印象です。

私としては, 遺言者にとっても相続人にとっても非常に有益な制度だと思っているので,

この業務を積極推進するつもりです。ただ,今は開業間もないためにさほど忙しくなく、

その結果として時間を確保できているものの, 忙しくなった場合に(ならないかもしれ

ない)どこまで遺言者に付き添って法務局に行くことができるかが課題になりそうです。

 

 

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