元横綱白鵬の宮城野親方が相撲協会を退職しました。
優勝回数等の大記録を打ち立てた大横綱白鵬。
その退職を惜しむ声は少なくありません。
相撲協会の対応や体質が非難されています。
世間では白鵬擁護の声が多いように見受けられます。
しかし、私はこの結果は仕方がないと思っています。
白鵬関は、横綱昇進からその後しばらくは「相撲道」に邁進する青年でした。
けれども、ある時期から「汚い取口」が目立つようになったのです。
張り差しは相撲の技術であり、これは批判さるべきではありません。
ですが、白鵬関が「かちあげ」と称した肘打ちは反則です。
ほんらいの「かちあげ」は、相手力士の胸に前腕をぶつけ、上体を起こすもの。
そして、自分に有利な差し手を掴むのです。
白鵬関は、肘を相手の顔面にぶつけていました。
時には、片手で張り手、顔をそむけたところへ肘打ち。
これは明らかに反則で、相撲協会が非難されるとすれば、これを反則にしなかった点です。
大関を務めた豪栄道関は白鵬関の肘打ちで顔面を骨折しています。
前腕を胸に当てられても顔面を負傷することはありません。
こういった取口の汚さに加え、嘉風関との一番も問題でした。
立会に失敗し、自らは「待った」のつもりだったのでしょう。
ですが、立会が成立し白鵬関は寄り切られてしまいました。
この結果に自ら「物言い」をつけたのです。
これはマナーとして絶対にあってはならないことです。
当時のテレビの実況中継でアナウンサーも
「起きてはいけないことが起きています」
と述べていました。
★ 嘉風関との一番に納得がいかず、弓取り式開始後も土俵から去らなかった白鵬関
優勝旗授与式で、観客に万歳三唱を求めたことも非難されました。
これも非難されてしかるべきことでした。
宮城野親方として、北青鵬関の不祥事を協会に報告せず隠蔽を図った件も問題です。
このように、横綱時代の後半以降は非難されて当然のことが続いています。
協会の処分の基準が不明確とか、重すぎるという声もありました。
ですが、「不祥事を起こさない」旨の一札をとられていた宮城野親方。
現役時代後半の数々の問題行動から一代年寄に推す声も出なかったのです。
彼の問題児ぶりを協会は持て余していたのが真相でしょう。
外国人ゆえ差別されたという協会批判もあるようです。
でも、外国人力士だった親方は普通に処遇されています。
旭天鵬関や武蔵丸関、琴欧州関、鶴竜関は現役時代に「問題児」でもありませんでした。
宮城野親方が外国人差別を受けたとする批判はあたらないでしょう。
宮城野親方は、後輩横綱が継承する伊勢ケ濱部屋にいることを我慢できないという報道も。
「後輩の下につくのは我慢できない」
でも、大相撲では番付で後輩が先輩を追い抜くことは普通です。
大ノ里関の横綱昇進にともなう綱打ちで、大学の先輩白熊関は綱打ち作業に従事していました。
一門の大先輩である高安関も同様です。
だからといって大ノ里関が「おい!白熊!」などとはいいません。
地位は上でも長幼の序に従って「白熊関」と呼びます。
元横綱照ノ富士の伊勢ケ濱親方が「おい!宮城野!」とは呼ばないのです。
自らが常に頂点に立っていた宮城野親方からすれば、形式的な序列の逆転すら我慢できないのか。
自ら招いた結果を我慢できないようでは、弟子を育てることは難しいでしょう。
相撲道をひたむきに究めようとする青年がどうしてこうなったのか。
それが残念でなりません。