私は、生活保護を受給していらっしゃる方から多くの依頼を受けています。
当然ながら、生活保護受給者は私に報酬や経費を払うことができません。
ほとんどの場合は法テラスが立て替えます。
刑事事件の国選弁護みたいなものだとお考え下さい。
通常よりもかなり低めの報酬と足が出ることもあるレベルの経費相当額。
これでなんとかしているのです。
ギリギリの経費の中で助かるのが自治体によるサービスです。
生活保護受給証明書を出すと、無料で戸籍謄本等を発行してくれます。
ただし、窓口によってヘンな対応に出くわす場合もあります。
① 「今日付で発行された証明書でなければダメ」(福岡市〇区)
このケースでは、福岡市の郵送請求センターの例を挙げて反論しました。
郵送する以上、当日発行の証明書を示すことは不可能ではないか、と。
そうすると、職員さんは
「では、今日は無料発行しますが、次回からは当日付の証明書を・・・」
「しっかりしてください。福岡市が当日付のものを求めていないことを示しましたよね」
「でも、ここは〇区なので・・・」
「〇区は福岡市ではないのですか?」
結局、職員さんの対応が誤りだったということになりました。
遠方へ郵送で請求する場合は、さらに問題が生じます。
② その自治体にいる生活保護受給者に対してのみ無料発行する、というのです。
③ 士業の職務上請求の場合は不可である、という回答もあります。
②の回答は、生活保護制度が各自治体特有の制度であると勘違いしているように感じます。
国の制度ゆえ全国一律の対応があってしかるべきでしょう。
③については、合理的な理由が見出せません。
最近、私は以下のような申し入れを行っています。
士業の職務上請求は、受給者からの依頼に基づいている。
仮に、無料で発行してもらえないのであれば、その費用は受給者に請求する。
決して我々士業が無料発行で得をするのではない。
士業からの職務上請求を無料発行の対象外とする合理的理由を見出せない。
是非、部局内で検討し、必要なら条例を改正してほしい。
その結果、玄海町と山鹿市は無料発行に応じてくれました。
受給者は福岡市に住民票があり、受給証明書は福岡市発行です。
前例踏襲型の業務を旨とする行政の英断といえるのかもしれません。
なお、唐津市は以前から無料発行に応じてくれていました。
「唐津市は応じていますよ」
という説明ができたことも玄海町と山鹿市の「英断」に影響したかもしれません。
以上は、成年後見制度に関する審判を求めたり債務整理をやらないと経験できないでしょう。
登記をすることができる = 不動産等の財産がある ≠ 生活保護受給者 です。
登記専門だと経験できない事象です。
だから、司法書士にも生活保護受給者が戸籍謄本等の無料発行を受けられることを・・・
なんと知らない人がいたりするのでした。