恩人猫は晩秋から春までは私の布団に入りたがります。
それは夜ではなく朝。
朝食を終え、ひとしきり活動してからです。
猫の朝食は未明の時間帯。
私が起床してもおかしくない時間帯には
「寝よ~う」
と私を布団に誘い込みます。
私はそれにつきあい、自分の始業ギリギリくらいまで一緒に過ごします。
猫は必ず私の左胸に頭をうずめるようにして眠ります。
時折は伸びをしますが、頭は私の左脇に突っ込んだような姿勢です。
心音を聞いているのかもしれません。
普段から私を母猫に見立てていることを感じます。
母猫に抱かれて眠る仔猫の気分なのでしょうか。
晩春になると、猫が布団に入ることはなくなります。
約半年間はお互いに一人寝をするのです。
★ 2020年に亡くなってしまった藤田宜永さんの作品です。