また保佐開始の審判の申立て書類を作成しました。
司法書士法の「3条1項4号業務」にあたります。
したがって,認定考査に合格していない司法書士にも認められた業務です。
マニュアル的なものをみれば,誰でもそれなりの書類を作ることができます。
しかし,正確に記載すべき点をしっかり記載できるかは要件事実論の学び方次第でしょう。
保佐開始にかんしても要件事実があります。
1 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であること
2 被保佐人となるべき者の精神の状況について鑑定をしたこと
(明らかに必要がない場合を除く旨が家事事件手続法に定められています)
3 被保佐人となるべき者の陳述を聴いたこと
(申立人自身が被保佐人である場合を除きますー家事事件手続法に定めがあります)
4 保佐人となるべき者の陳述を聴いたこと
(保佐人選任のための要件事実です)
5 同意権拡張の場合は,被保佐人となるべき者の陳述を聴いたこと
代理権付与の場合は,被保佐人となるべき者の同意を得たこと
申立書とそれに添付する診断書等から上記1の事実を明らかにできなければアウトです。
それ以前に,まずは申立書に1の事実を述べておかなければダメですね。
上記3および4は調査官による面接でクリアできます。
上記5については事前に同意書を提出します。
ということで,事前に確実に立証するのは上記1の事実です。
診断書や本人情報シートなどで概ねカバーできますが,まずは
「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である」
ということを明記することが基本です。
過去に読んだ申立書ではそのことが必ずしも明記されていなかったり。
認定司法書士ではない方が書類作成者でした。
というわけで,この種の業務を扱う以上は,要件事実論を学ぶことは必須なのです。
裁判書類作成業務を一切やらないのであれば別です。
でも,それでは時代に・・・ということです。
また,家裁にたいして審判の申立てをするのであれば,
上記のように家事事件手続法を知るのは当然ということになります。