フジテレビが大揺れ。
中居正広さんの性加害問題が原因です。
ここまでフジテレビが「悪役」になったのはなぜか?
それは、組織が機能していなかったからではないかと思うのです。
コンプライアンス室という部署があるようですが、そこの責任者は
「何も知らされていなかった」
というではありませんか。
これは、「普通の企業」ではあり得ません。
この種の問題が生じた場合に情報を把握すべきは次の各部門です。
広報部門・企画部門・コンプライアンス及び法務部門・総務部門
危機管理に関するエキスパートでなければならないのがこれら。
その中のコンプライアンス室が「知らされていない」など考えられません。
フジテレビの従業員数は1000人強ですから大きな組織ではありません。
幹部や中核の管理部門が情報を共有しやすい環境といえます。
それなのに、今の状況を招くとは信じ難いレベルです。
もともとテレビ局は外部からのクレームに対し、異常なまでに神経を使っています。
映像表現や使う曲の自主規制がそれ。
名曲「竹田の子守歌」や「チューリップのアップリケ」は永らく放送されませんでした。
これは、「部落差別を助長する効果を生む可能性」を危惧してのこと。
部落解放同盟の方にいわせれば、「アホか?」という次元だそうです。
「そういう自主規制の根底に差別意識があるんや」
というお話でした。
とにかく問題を起こさない。そのためには「表現の不自由」を選択する。
テレビ局はこういう姿勢でした。
そうであるにもかかわらず、今回の問題についてはだらしない対応に終始。
組織としてかなり未熟なのでしょう。
翻ってみるに、私が所属する福岡県司法書士会の会員数はフジテレビの従業員数と同じくらい。
ただ、組織として会員を統制することはできません。
一種の自営業者の集まりです。
それでも、司法書士に対する苦情対応の窓口を設けています(私はその対応委員です)。
会員である司法書士がこの問題に対して興味をあまり持っていないことが気になります。
「他人事」と感じる方がかなり多いようです。
苦情は依頼者のニーズを把握する素材です。
過剰なニーズにはお応えできません。
けれども、申立がある苦情の多くは、
「もう少し工夫があれば、寧ろ感謝されて終わるケースだったのに」
というものが多いのです。
苦情についての情報集約も不十分です。
組織運営には甘さを感じますが、「同業者の集まり」レベルなので限界かもしれません。
「苦情」に対する向き合い方についても、「どうなのかな?」と感じることもあります。
苦情は、依頼者からのコミュニケーションの求め。
本当に「もう司法書士なんて信じない!あいつら嫌いだ!」と思えば、どうするか?
黙って去っていくのみ。
そして、「二度と依頼しない」という選択をします。
文句を言うということは、「改善への期待感の顕れ」にほかなりません。
前向きに苦情を捉えることこそ、依頼者の満足度追求の基本です。
これは、規模が大きな企業では「常識」です。
さて、こういう「常識」を実行できるか?
これは、ひとえに各司法書士の意識にかかっています。
各司法書士は自営業者。
すべてが自分次第なので。