自宅兼事務所の隣には公園がありますが,その片隅に咲く花です。
ノカンゾウ Hemerocallis longituba です。
栽培されることも多いのですが,フィールドでもよくみかけます。
雰囲気は完全に栽培種という感じです。
この仲間には野生種で人気のユウスゲ H.thunbergii もあるように花が美しいグループです。
ニッコウキスゲと呼ばれる種もこの仲間です。
ほんらいの和名はゼンテイカですが,学名をどうするかは論争があるようです。
おそらく今はH.middendorffii var. esculenta が有力だと思われます。
ニッコウキスゲことゼンテイカにかんしては,関東在住時に尾瀬ヶ原などでみています。
ゼンテイカ
ノカンゾウをみていると,ニッコウキスゲを思い出し,ニッコウキスゲを思い出すと北関東や東北の山を思い出します。
九州の山は照葉樹林に覆われ,冬でも厚い葉が繁って黒々としています。
一方で東日本の山には落葉広葉樹が多く,秋は山頂から紅葉が下りてきます。
そのグラデーションの美しさには息をのむものがあります。
そして冬が近づくにつれて木々の葉が散って,冬には灰色の木肌だけの世界に。
それが雪で白く染まっていくのです。
春は下から若葉が芽吹き,山頂に向かって緑が上っていきます。
四季の移ろいを感じることができるのは九州の山よりも東日本の山であるようです。
ノカンゾウの花をみていて,ちょっと20年前を思い出しました。