おぅ!よろしくな!
この猫は元やくざです。
私が説得してカタギにさせました。
初めて会ったのは2018年, 自宅敷地に現れたこの猫と
目が合いました。気が合いそうな予感からか「よぅ!」と
声をかけると「ミャー」と返してくれました。険しい表情ながら
ニヤッと笑ったようにみえました。「おぅ!よろしくな!」
流血の惨事
その後,この猫は毎日のように現れます。
顔はデカいのですが,体はまだ小さく1歳くらいにみえました。
腹が減っているだろうと思い,食餌を提供したところ,旺盛な食欲を示しました。
「ミャーンシャーッ!」と甘え声に続けて威嚇します。
「俺に触ると怪我するぜ!」
そのとおりで,鼻先に指を出したところ猫パンチを浴びて流血。
説得の日々
徐々にお互いの距離が縮まり,私が触ると体をビクッとさせるものの,
爪を出すようなことはなくなり,横に座って話ができるようになりました。
「これからの渡世は厳しいぞ。思い切ってカタギにならんか?」
私は日々説得しましたが,10年以上を番長として君臨した猫を粉砕し,
ほかに侵入を試みた猫も撃破して,覇権を握りつつあるこの猫,
なかなか「うん」とはいいませんでした。
ついにカタギに
日々の説得が奏功したのか,お互いに友人と認めあえる状況になりました。
そして,地域猫活動をしている方の協力を得て,ついに去勢→カタギという道を歩んだのです。
それでも戦闘能力は高く,今も他のオス猫の侵入を許しません。
さすがにかつてイタチを仕留めて自慢げにみせにきただけのことはあります。
地域猫は耳をカットします。その形からサクラ猫と呼ばれますが,
サクラ猫が舞い散る桜の花びらの中で寛いでいる・・・こういう感じでやさしい猫になりました。
もう「シャーッ!」とはいいません。
お散歩好き
今は私と事務所兼自宅の隣にある公園を散歩するのが日課です。
これは縄張りの巡回も兼ねています。
一緒に歩きながら,横転して「撫でろ~」とせがむ姿からは
かつてのやくざな生活を想像できません。
甘噛みも上手になり,手に繰り出す猫パンチ,猫チョップも爪を出すことはなくなりました。
飽くまでも遊び,甘えの仕種です。
本当は室内飼いにしたいのですが,我が家には2匹の猫がいます。
成猫になってから去勢したため,この猫はスプレー癖が抜けません。
スプレーというのは尿を噴射してマーキングすることで,テリトリーを守るための行動です。
結果として地域猫に。我が家の客人扱いなれど,実質的に正式メンバーというポジションになっています。
食餌と寝床は万全を期していて,冬は携帯カイロで温め,夏は電気蚊取り機で守っています。
名前はベルンハルト・グリュン。目が淡い緑色なのでドイツ語の緑を姓にしました。
名のベルンハルトはドイツの法学者ヴィントシャイトにちなみます。
人間にかんしては, 猫らしく子供が嫌いで大人の女性が好きです。
大人の女性が好きなところは私と共通です。 やはり気が合うのです。