永い間にわたって野球ファンをやっています。
「これは魔球だ」と思うボールを投げた投手はごくわずか。
その中で最高の投手は江川卓投手でした。
江夏豊投手の全盛期をみていない私です。
そうなると、衝撃を受けるのは江川投手から、ということになるのでしょう。
松坂大輔投手が片岡選手を空振りさせ、尻もちまでつかせたストレートを投げました。
でも、江川投手のストレートには及ばない。
それが私の感想です。
江川投手のストレートは、二段ロケットのようでした。
投げてから、ホームベース手前で加速する印象があったのです。
実際には、加速はしません。
おそらくボールの回転数が多いのでしょう。
あのようなストレートを投げた投手はほかにはいません。
藤川球児投手のストレートが、かなりそれに近い印象ではありました。
150キロを超えないくらいのストレートが最高だったのです。
リリーフに転向してからの津田恒美投手のストレートもかなり似てはいました。
けれど、この2人はリリーフ投手。
江川投手は先発して完投するのです。
凄まじい投手だったことがわかります。
無論、一試合を通して同じようなストレートを投げ続けることはありません。
カーブを上手に使って省エネを図っていました。
江川投手の持ち球はこのカーブとストレートだけ。
まさに、ストレートが魔球だったのです。
江川投手の再来ーマスメディアは一度もこのフレーズを使っていません。
それは、あのストレートを再現できる投手がいないことを示しています。
上記の松坂投手も、ダルビッシュ有投手も、そして田中将大投手も「江川の再来」ではありません。
今のエース級の投手は、鋭い変化球を決め球にしています。
ストレートで勝負ー打者の技量が上がっている時代には難しいのかもしれません。
けれども、江川投手ならストレートで牛耳ることができるのではないか。
私は、今も江川投手の「魔球ストレート」をもう一度みたいと思っています。