日本司法書士会連合会は家事代理権の獲得を目指しています。
過去にも記事で何度か触れました。
私は
「やめときなよ」
と思っています。
私自身にとっては、家事代理権があるとありがたいのです。
家庭裁判所にも「代理人」として書類を出し、さらに出廷もできます。
今は司法書士に家事代理権がないので、書類作成業務だけ。
その私が
「やめときなよ」
と思うのには理由があります。
家事代理権を司法書士が持つとどうなるか?
遺産分割協議が紛糾しているケースで、ある当事者の代理人を務めることができます。
先にある登記業務を含めて「遺産分割の代理人に」という依頼があるでしょう。
それを司法書士が引き受けるか?
今の紛争へのかかわり方をみると、おそらく回避するだろうと思います。
簡裁代理権を得たのに使いこなせていない現状がその根拠です。
前にも述べたことがありますが、代理権をアクセサリーにしている人が意外に多いのです。
「債務整理?やってません」
「損害賠償?弁護士に相談を」
トラブルへの関与などまっぴらごめんという声を直接、しかも何度も聞きました。
「司法書士は登記で当事者に感謝される平和産業」という感覚の方々には無理です。
そして、そういう方が多数派であるようです。
家事代理権を得たらどうなるか?
上記したような登記を前提とした遺産分割協議の代理人をすることになります。
登記業務はやりたいけれど・・・遺産分割の代理人はちょっと・・・
こうして相続に関する登記業務は多くの司法書士ができなくなっていく。
こういう未来がみえるのです。
だから、日本司法書士会連合会は自らの首を絞めるようなことはしない方がよろしい。
私はそう思っています。
尤も、多くの司法書士が相続登記から逃げるようになる結果、私は潤うはず。
だから、個人的には家事代理権があるといいな、と思っています。
飽くまでも個人的には。
★ 「美しき罠」
「罠」とタイトルに入る小説は数多存在します。
バリンジャーは「歯と爪」や「消された時間」が有名です。
この「美しき罠」も傑作です。