イボタガ Brahmaea japonicaは昆虫好きには人気が高い種です。
このガを初めてみたのは5歳の時でした。
嬉しくてたまりませんでした。図鑑の中のアイドルに出会ったのです。
なんとか持ち帰りたい。
ネットを持っていなかったので困りました。
鱗粉が落ちないよう慎重に手でくるむようにして、なんとか持ち帰りました。
これを標本にしたのですが、その後に事件が起きました。
標本を作るには、ある程度の時間がかかります。
まず、展翅という作業を行います。
翅や触覚の位置を調整し、展翅版という専用の板に張り付けるのです。
胴体には昆虫針を刺して。
その数日後でした。
さして仲が良いわけでもない同い年の子供が遊びに来ました。
私はイボタガを自慢しました。
彼が帰ってから気づきました。
製作中の標本が歪んでいるのです。
おそらく、彼が何かをしたのでしょう。
なんとか整形できたのですが、私は非常に悲しくなりました。
自慢されて嫉妬したのか?
彼はそれほど昆虫に興味があるわけでもないのに。
その後、彼は引越したので、顔を合わせる機会がないままになりました。
学生時代にヘルマン・ヘッセの「クジャクヤママユ」を読みました。
なんとなくですが、彼の気持ちがわかったような気がしたのです。
イボタガは、春先に現れる年1化の種。
たまに出会うと幼少期の思い出が蘇ります。
★ 英名は“owl moth”
つまり、フクロウガです。翅を広げるとフクロウの顔に似ているのです。
この写真は本年 4月 6日に撮影しました。