“Willow Weep For Me”が発表されて90年。
ジャズの定番曲になっています。
曲のイメージがヤナギの樹らしいのです。
私にはヤナギの樹に少し悲しい思い出があります。
幼少時、幼稚園・小学校までの通学路は川に沿っており、ヤナギの樹が植えられていました。
シダレヤナギで、風に枝が揺れ葉がチラチラとさざめく姿は風情がありました。
そのヤナギで発生していたのがコムラサキ Apatura metis という蝶です(写真はオス)。
しばらくして道路拡張で川は暗渠になり、ヤナギはすべて切られました。
コムラサキはいなくなってしまいました。
昆虫は少々採ったところで減ることはありません。
しかし、環境が変わると住めなくなってしまいます。
大学生になって“Willow weep for me”を聴いたときに、「コムラサキ哀歌」のように感じました。
ところで、ヤナギは上記したシダレヤナギのイメージが非常に強いようです。
風にそよぐ枝葉=ヤナギというのはシダレヤナギ。
たとえばイヌコリヤナギは全然枝垂れではありません。
「ハクロニシキ(白露錦)」なる園芸品種は葉の色の美しさで人気があります。
一般に「ポプラ」と呼ばれるPopulus属もヤナギ科です。
我が国にある「ポプラ」はヤマナラシとドロノキです。
これらを食樹とするのはオオイチモンジ Limenitis populi です。
学名もポプラにちなむ我が国を代表する美麗種です。
オオイチモンジの生息域は限られています。
河川開発でドロノキやヤマナラシが伐採されると大きな影響を受けます。
人の手による道路拡張や河川開発を「柳に風」の如くかわすような術を昆虫は持ちません。
希少種であるオオイチモンジが飛び交う環境をいつまでも維持したいものです。
★ リンクの演奏はTommy Flanagan
フラナガンのピアノは耳にやさしく、我が国でも人気があります。
ビッグネームミュージシャンのリーダーアルバムにもよく参加しています。
彼自身も十分過ぎるビッグネームですが、脇役としてのフラナガンの評価は非常に高いのです。