福岡県糸島市 司法書士 ブログ

一本足打法と少数説

一本足打法といえば王貞治選手。

通算868本の本塁打記録は世界一です。

この記録は破られそうにありません。

王選手のように打ちたい!

と考えれば、プロ野球界に一本足打法が広まりそうなもの。

しかし、今は誰も一本足打法を使いません。

かつて、片平晋作選手が一本足打法で活躍しました。

江夏豊投手にいわせれば

「片平は一本足をせんかったら、もっと打ったんちゃうかな」

片平選手は王選手の一挙手一投足を模倣したそうです。

一本足打法でない片平選手は存在しないので、江夏さんの主張が正しいかどうかはわかりません。

でも、江夏さんは片平選手の能力を認めたうえで「一本足ではない片平」を見たかったのでしょう。

その後、ジャイアンツで駒田徳広選手が一本足打法に挑戦し(させられ)ました。

体が大きく飛距離が出る駒田選手に王選手の再来を期待したのかもしれません。

ですが、「一本足の駒田」は未完成に終わりました。

通常の打法に戻した駒田選手は大活躍します。

長い手足とバットコントロールのよさを発揮し、2000本安打を達成。

ほかに一本足打法をやろうとした選手はいたのか?

このようにみると、一本足打法がいかに特殊なものかがわかります。

王選手の特徴には一本足のほかにダウンスイングがあります。

ボールの芯から5ミリメートル下くらいを上からたたく。

バックスピンがかかったボールは高く舞い上がり、飛距離が出る。

でも、今のスイングはレベルまたはややアッパーが主流。

MLBなどアッパースイングが目立ちます。大谷翔平選手もアッパーです。

このダウンスイングは理屈は正しくても、実行がかなり難しいのでしょう。

一本足打法と同じで特殊なのです。

二つの特殊な技術を身につけたがゆえの大記録。

このうちの一つを身につけることすら難しいのに。

そして、その努力よりも通常のバッティングスタイルを極める方が容易なのです。

だから一本足打法もダウンスイングも主流にはなりませんでした。

 

この野球における現象は、法律の世界でも同じです。

少数説は鋭い視点から判例や通説の弱点を補う内容のものが多く、読んでいると魅力的です。

でも支持者は少数なのです。

つまり、決定的な欠陥を持っていることが多いのです。

長いものに巻かれるのがよいとはいいません。

けれども、判例や通説には汎用性があり、目立った欠点がないのも事実。

だから実務をやるうえでは、第一に判例(最高裁のもの)。

それがなければ、通説を大事にすべきです。

個人的な読書においては少数説万歳でも構わないのですが。

 

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