「自分、ケンカが仕事ですので」
と笑う男。でも目は笑っていません。
「高橋さんとはケンカせずに仲良くお話ができれば。そう思ってますよ」
また笑います。やはり目は笑っていません。
彼は示談に被害者側の代理人介入し、
「●●さん(被害者)とのご関係は?」
という私の問いに答えています。
翻訳すると、
「わたくし、やくざでございます。提示内容に不満があれば、暴力を使う場合があります。
その点にご注意ください。よろしく」
といったところでしょうか(尤も、カタギに対して暴力を使うことはまずありません)。
笑顔なのに笑わない目。言葉の選び方。
「こりゃモノホン(本物)じゃ」
と私にはわかりました。
「名刺を頂く・・・わけにはまいりませんね」
と私は応じました。もちろんニッコリ笑います。
これは「あんたがやくざだというのはわかったよ」というメッセージです。
内心は「おどれのような極道には慣れとるんじゃ。怖がるとでも思うとるんか!」です。
無茶な要求もなく円満な解決を迎えました。
「高橋さん、おたく、こっちの世界でもいけますよ。気合が入ってらっしゃる」
褒められたみたいです。
「いやあ、私のような者にはとてもとても」
と応じてお別れしました。
あり得ませんが、スカウトに応じていたら・・・
きっと今は基本的人権の侵害に憤懣やるかたない日々を送っているでしょう。
「やりすぎの暴対法」なのに人権の擁護者を標榜するリベラル派の皆さまは何も対応しません。
国会前や総理官邸前で
「やくざの人権を守れ!」 「暴対法廃止!」
とデモをやるべきではないのかな?
それが日本の「リベラル派」の仕事でしょう?
あのときのやくざさん、元気に
「健康で文化的な最低限度の生活」
をしていらっしゃればいいのですが。
★ 映画「極道渡世の素敵な面々」
やくざ映画の体裁をとりながら青春映画の趣のある作品でした。
左は主演の陣内孝則さんと成田三樹夫さん
右は陣内さんと結婚する看護師役の麻生祐未さん(好演)に原作者の安部譲二さん(右端)
左端は安部譲二さんの妻役のあべしずえさん
一番後ろにみえるサングラスの人は元本職の安藤昇さんで牧師役
この映画で陣内さん演ずる主人公が
「わたくし、やくざでございます」
と名乗るシーンがありますが、現実にはあり得ない言葉です。
意図的にストレートに「やくざ」と名乗ることでとぼけた味わいが出ています。