“MC”の正式な呼び名を知っている人はどのくらいいるのでしょうか?
“master of ceremonies”だと知っている人は、存外に少ないかもしれません。
“MC”はいつ頃から一般化した言葉なのか?
なぜ、従来のように「司会」といわなくなったのか?
非常に不思議な気持ちがします。
ある土曜日の午後、理容室で髪を切ってもらっていました。
テレビの音声だけが聞こえていたのですが、その“MC”の日本語の酷いことといったら・・・
その上、司会者なのだから進行に徹すればいいものを、いろいろとコメントします。
本人の思い込みとしか思えないような内容をさも一般的な話のようにしていました。
日本語レベルに加えて喋る内容も聞くに堪えない番組でした。
内容は、米国でウケた和菓子やフリーランスの和菓子職人の話でした。
せっかく面白そうな内容なのに、“MC”のレベルの低さのせいで、面白さが伝わりません。
だから民放の番組なんてみないんだよ!
そう思いましたが、“MC”という表現はNHKでも使っているのです。
ただし、自局のアナウンサーが務める場合には「司会」と表記するようです。
なかなか面白い区別であるように思っています。
「司会」が“MC”になってから、番組の幼稚さが際立つようになったような気もします。
司会役は、「にぎやかし」のリーダーみたいな位置づけにみえるようになりました。
司会役がベラベラ喋ると、本来のテーマがぼやけてしまい、番組が壊れてしまいます。
目立つのは“MC”。進行は“MC”が司り、視聴者の注目を浴びるのも“MC”。
まさに“MCワンマンショー”です。
かつて、日本アカデミー賞の授賞式で、ある有名な俳優さんが司会をしていたときのこと。
サービス精神旺盛な方だけに、よくしゃべるのです。
それに向かって最優秀主演男優賞受賞者の緒形拳さんが
「司会者!しゃべり過ぎ!」
と一喝したのは、やはり「司会」のあり方をよく考えていらっしゃったのだと思います。
目立つべきは緒形さん、司会者が目立ってはいけない場面でした。