「ハネをあげながら」
これでピンときた方は鋭いと思います。
「ハネ」は羽根ではありません。
漢字で書くとすれば「跳ね」または「撥ね」。
「泥や水のしぶきをあげながら」なのです。
先日紹介した“NIGHT WALKER”の歌詞に登場します。
♪ あの頃のあなたへ
ハネをあげながら
走ってゆきたい
どんなに遠くても ♪
ユーミンは「ハネをあげながら」という表現が好きなのでしょう。
実は、別の曲の歌詞にも登場します。
♪ ハネをあげながら曲がったバスは
懐かしい街へ煙って消えるの ♪
これは「わき役でいいから」の歌詞です。
この曲は1981年発表の「水の中のAISIAへ」に収録されています。
ここでは、視覚的に捉えたハネです。
スコールが降る南の街だからこそバスはハネをあげ、雨で煙った風景に溶けてゆく。
“NIGHT WALKER”はその2年後のアルバム“REINCARNATION”に入っています。
こちらのハネは心の中の風景に登場しています。
夜遅く雨が降る通りを歩いている中、別れた寂しさにたまらなくなる。
ハネをあげ、多少着衣が汚れても走ってあなたのもとへ・・・
いずれの曲も効果的にハネが使われているのです。
風景描写に心象描写。
さすが名人は違うな。
私は改めて彼女の才能に感服してしまったのでした。

