福岡県糸島市 司法書士 ブログ

長幼の序

中田翔選手の事件

日本ハムファイターズの中田翔選手が不祥事を起こしました。

やったことは責められてしかるべきですが,ネット上の論調では永久追放のような話が。

本人が真摯に反省し,被害者である投手も宥恕の意思を表明しています。

ここはやり直しの機会が設けられてしかるべきで,讀賣ジャイアンツがその機会を提供しました。

ジャイアンツOBの廣岡達郎氏は反対を表明していますが,私はよいことだと思います。

やり直しの機会がないままでは中田選手はまさにグレてしまうでしょう。

野球だけに邁進してきた彼が,いきなり社会に放り出され,その社会の風当たりは限りなく強いとすれば・・・

想像するに難くない結末を迎えそうに思います。

ジャイアンツのフロントや原辰徳監督の決断は支持されるべきだと考えます。

ジャイアンツには中田選手の「同級生」にあたる菅野投手,小林捕手,丸選手が在籍し,

チームリーダーの坂本選手は1学年上であることも「よい環境」とされているようです。

ファイターズではコーチ兼任の鶴岡捕手を除いては中田選手が最年長でした。

お山の大将になる環境だったということのようです。

そう,プロ野球では年齢の上下がかなり重要なのです。

選手としての実績が圧倒的に上であっても年齢的に上の人を立てます。

実力の世界とはいえ,選手同士のつきあいは長幼の序をわきまえるという考え方が浸透しています。

これは非常に重要なことだと思います。

年齢の上下の重要性

年長者に敬意を払うのは礼儀を重んじる我が国では常識であり,当然のことです。

かつて私が企業の管理職だった時分に総合職の部下は全員年長ということがありました。

私は,  業務時間中は「自分は上司としては命令を出すので従って欲しい」と彼らに伝えました。

ただし,勤務時間外には丁寧に接し,彼らを立てました。

こうすれば相互理解の下に割り切って働く気持ちになることができます。

上司が職場において妙に年長の部下に気を遣っていては組織が崩れる恐れがあります。

結局,年長者がわがままを言い始め,それが通るようになってしまい,他の部下の心が離れるのです。

その現象を実際にみた経験があったので,私は仕事にかんしては上の立場を演ずるようにしました。

しかし,飽くまでも仕事の場だけの話です。

仕事を終えてからの懇親会や忘年会などでは必ず年長者を立てました。

わきまえるべき基準

翻ってみるに司法書士等の士業の世界ではどうでしょうか?

なんとなく気持ち悪さを感じるのはお互いを「先生」と呼び合うことです。

私も慣習に従ってそうしていますが,果たしてこれは世間の常識からみてどうなのか?

30年目のベテランから1年目の私も「先生」と呼ばれますが,明らかに変です。

妙なむず痒さを覚えます。

とはいえ,試験合格年次だけで序列が決まるという考え方も変でしょう。

たしかに試験合格年次は客観的な基準ではあります。

しかし,平成25年合格の30歳の司法書士Aが平成30年合格の40歳の司法書士Bを

「Bクン」

と呼んでいるのをみると,世間からはAが常識のわきまえのない人にみえます。

だって普通にみれば40歳と30歳では見た目でどちらが年上かわかります。

「あの人は年上のBさんをクン付けで呼んでエラそうな人だな」

と思われるのがオチです。

一方で,実績や能力次第ということも難しいのです。判断基準が明確ではありません。

まさか収入の上下で決めるようなことはできないし(笑)。

そうすると,やはり長幼の序という考え方が一番馴染むのです。

年齢は客観的かつ動かない基準ですから。

以上のように「実力主義」の世界においても「長幼の序」をわきまえることが理に適うというお話でした。

当然ながら56歳の私を立てて欲しいといっているわけではありません。

誤解されませぬように(笑)。

 

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