提携の話をよく聞きます。
他士業との提携、あるいは不動産仲介会社や金融機関との提携など。
当事務所では、ゆるやかな協力関係を持つことはあります。
また、自分自身のつきあいを通じて他士業の先生を依頼人に紹介することはしています。
ですが、たとえば、セミナーや相談会を計画して合同で開催することなどはしていません。
また、他士業の方からの業務の依頼については以下の方針をとっています。
① 個人情報の収集は、飽くまでも私に対して委任状を提出する依頼者から行う。
② 報酬の授受は、すべて依頼者と直接行う。
つまり、中間に業務を依頼した他士業の先生を介在させることはしないのです。
①は情報漏洩の防止のためです。
では、②は?
これは、たとえば他士業のB先生が受けた業務で司法書士の登記等が必要である場合に、
B先生が依頼人Aから総額40万円を受領し、私に20万円を渡すとすれば、問題が生じかねないから。
おそらく誰も何も感じないかもしれません。何が問題なのか、と。
上記のケースで、私がAから直接依頼を受けた場合の報酬が25万円だとします。
しかし、私が受け取るのは20万円です。
そうすると差額の5万円は、B先生へのバックマージンであるとみられかねません。
つまり、私が提携先であるB先生にマージンを払って仕事を得ている外形を持つことになるのです。
実態はそうではなく適正であるとしても、司法書士あるいは弁護士はこのパターンを嫌います。
司法書士・弁護士でも構わずこの形態で仕事を受任する人もいるでしょう。
ですが、慎重派で手堅いタイプの人は絶対に回避する仕事のやり方です。
また、正式の提携契約のような形にすると、本業以外の「つきあいの時間」が生じます。
更にはバーターでの仕事の紹介をしなければなりません。
私は「渡世の義理」を重んじているつもりですが、がんじがらめにならないようにしたいのです。
「跡目に立とういう考えで旅と盃したら間違いのもとになりますよ」
「仁義なき戦い 代理戦争」で広能(菅原文太さん)が打本会の会長(加藤武さん)に忠告した言葉。
「組長を継ぐ目的でよその組の人と兄弟盃を交わすと間違いのもとになります」
ということを述べているのです。
これは重い言葉だと思っているのです。
「ゼニ儲けよういう考えで他士業と盃したら間違いのもとになりますよ」
たしかに私は福岡市内の複数の弁護士事務所と親密なつきあいがあります。
また、特定の社会福祉士事務所とのつきあいも濃くなっています。
ただ、報酬のやりとりは上記各事務所とはやっていません*。
飽くまでも先生方との個人的信頼関係からおつきあいしているのです。
そこに報酬のやりとりが介在してしまうと、人間関係よりもカネのつながりに堕してしまいます。
というわけで、私はゆるやかな協力関係しか結ばないようにしているのです。
なお、ワンストップ型を謳う提携関係もありますが、場合によっては依頼人の負担が大きくなります。
一度相談すると、税務は提携税理士が、登記は提携司法書士が、というように
依頼人が複数の士業に「依頼せざるを得ない」状況が生まれかねないのです。
よって、ワンストップ型を目指す他士業との提携も予定していません。
他士業の先生を紹介するけれど、その先は依頼人の意思次第という形式を重視しています。
*社会福祉士事務所からの振込は被後見人等名義で被後見人等の財産から報酬を受ける場合であり、家裁の許可に基づいています。
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加藤さんは文学座の重鎮にして名優中の名優。
太地喜和子さんを育てた方です。「よし!わかった!」でも有名です。