福岡県糸島市 司法書士 ブログ

実録 アウトロー襲来

シャブ中来訪

私が社会人になって4年目でした。

当時勤務していた会社に出所直後の示談屋さんから

「今から行くけん」

と電話がありました。何の用なのかは不明です。

この人が刑務所に入っていたのは覚醒剤犯罪のためで,もともと中毒です。

シャブ中が来る! という緊張感は特になく,10分後にお会いしました。

応接コーナーに通します。

時々ブログ記事で登場する親友の女性が当時は同僚で,お茶を出してくれました。

そのときでした。彼女はテーブル上のガラス製の灰皿を引いてしまいました。

これは,シャブ中のおじさんに私が灰皿で殴られないための配慮です。

さすがだなぁ・・・と感心したものの,お茶をぶっかけられてもええんかい!と突っ込みたくなりました。

訪問理由は,単に愚痴を聞いてもらいたいだけで,適当に相槌を打ってお帰りいただきました。

ちなみに当時の電話帳にはこのシャブ中さんの電話番号が掲載されていました。

●●自賠責保険会社 2XーYYZZ みたいな表記です。

「自賠責保険会社」です。

示談屋さんがこういう届けを出し,そのまま電話帳に載る時代だったのです。

 この映画は見逃したままです。この年末にでも楽しもうかな,と思っています。

  役所広司さんのやくざ役はかなり似合うと思いますので。

汚い靴だなぁ

その後の転勤で私は南九州に勤務しましたが,その際に「組の者」を名乗る人から

「今から行く」という電話が入りました。

やくざ慣れしてしまっている私は「あ,そう」という感じでしたが,部署内には緊張感が走っています。

例によって私が応対するので,特に怖がることもないと思うのですが,

おそらく私が流血の惨事に見舞われるような想像をしているのです。

そして,「組の者」さんがやってきました。

ダークスーツが決まっています。しかし,よくみると・・・靴が汚くてボロなのです。

その瞬間にわかりました。「ニセモノだ」と。

本物のやくざはそういう点までぬかりがありません。キッチリした服装でやって来ます。

一方で,やくざではない以上は逆上したら何をしでかすかわからないな,とは思いました。

やくざのように言葉ひとつひとつを選ばなければならない状況は訪れません。

突っ込まれないように慎重に応対する必要はないということです。所詮はチンピラですから。

しかし,いきがったチンピラは気に食わないと即暴れます。これが怖いのです。

応接室で彼が座ると腕時計がみえました。

プッと吹き出しそうになるくらいにチャチなものでした。パチンコの景品みたいな感じです。

強引な理屈で賠償金を払えとまくし立てますが,この種の相手をするのは楽です。

「できない」ことを繰り返すだけ。しかも,その件は判決が確定しています。

そのうちに懇願が始まりました。

「判決は判決として,なんとかしようという温かい配慮はできないのか?」

「できませんね。お帰りください」

これで終わりでした。

俺の目をみろ

危険極まりないようにみえるかもしれませんが,実はさほどではありません。

守るべき一線を守る。決めた姿勢を崩さない。

できないものはハッキリと「できない」と言い続け,検討の余地があるような言葉を使わない。

目をそらさず,毅然と。

相手が目をそらしたらお帰りになる合図です。

やくざは目をそらしませんが,「できない」という言葉が本当だとわかれば,あっさり引きます。

チンピラやアウトロー気取りの連中は最後までゴチャゴチャ言いますが,

勝てない相手だと分かればすごすごと尻尾を巻きます。

たまにやくざからは「本当か?本当にできないんだな?」と念を押されました。

「私の目をみてください。ウソをつく男の目ですか?」

これが決めゼリフでした。

その出典は・・・

俺の目をみろ なんにもゆうな

  男同士の腹の内

というサブちゃんの「兄弟仁義」の歌詞です。

演歌ファンではない私でも知っていました。

東映のやくざ映画の主題歌にもなっていましたので。

ブログ一覧へ戻る

お電話

メール

ページの先頭へ
Loading...