任侠映画で流れる音楽・・・それは演歌なのです。
演歌と任侠映画は相性がよいとされてきました。
今は任侠映画は作られていません。
だから、任侠映画と演歌の「道行き」は途絶えてしまいました。
健さんの昭和残侠伝シリーズでは「唐獅子牡丹」を健さん自身が唄いました。
「兄弟仁義」はサブちゃん自身が主演し、主題歌をヒットさせています。
「人生劇場」は何度も映画化されました。
この中で村田英雄さんが主題歌を唄い、出演もした作品があります。
鶴田浩二さんが飛車角役を演じました。
山口組の三代目田岡一雄組長を主人公にした「山口組三代目」。
この作品は「実録」映画ですが、内容は完全な任侠作品です。
主題歌は「男のさだめ」という完全なる演歌的タイトルで、もちろん演歌。
唄ったのは五城影二さんで、有名とはいえません。
この人が、田端義夫(をモデルにした歌手)役で出演した映画もありますが、本業は歌手です。
主演女優が主題歌を唄ったのは「緋牡丹博徒」シリーズの藤純子さん。
1980年代に入って作られたのは稲川会初代総裁を主人公にした「修羅の群れ」。
これも「実録」という形式ですが、実際は任侠映画です。
主題歌は「神奈川水滸伝」で、歌唱はサブちゃんです。サブちゃんはモロッコの辰役でも出演。
その後、サブちゃんは稲川会の新年会でこの歌を唄って、そのせいで紅白を辞退したことも。
この映画は松方弘樹さん主演で大ヒットし、星野仙一監督のお気に入りの作品でした。
1991年、異端の任侠映画が公開されました。
それは、任侠映画の本家東映が作ったのではなく、なんと松竹作品。
「陽炎」です。
この作品は、実は「緋牡丹博徒」をベースにしたものです。
樋口可南子さんの美しさを堪能する映画といえるかもしれません。
一方で、仲代達矢さんのアクションはお世辞にもうまいとはいえませんでした。
主題歌は、これも異色で聖飢魔Ⅱの「赤い玉の伝説」。
なんと任侠映画の主題歌がロックになったのでした。
これは驚きでしたが、見事にハマっていてデーモン閣下の美しい声でエンディングを迎えます。
演歌からロックへ
任侠映画は主題歌に変化というか進化がみられたのですが・・・その後は作られていません。
やくざ映画に近い作品はあります。
でも、60年代から70年代初めを席巻した任侠の味わいはありません。
私は時折ですが任侠の香りに酔いたくてDVDで鑑賞します。
先日、「陽炎」と「修羅の群れ」を続けてみました。
★ 左はお竜さん(藤純子さん)
右はその化身ともいうべき不知火おりん(樋口可南子さん)