また買いました。
今回は、これです。
「仁義なき戦い 完結編」の市岡輝吉。
松方弘樹さんは、当時32歳とは思えない貫禄。そして、病的で薄気味の悪さ。
いわゆるヤクネタの極道さんを演じきった松方さん。
亡くなって６年が経過しました。
私が思う東映のナンバーワン俳優は、この松方さんです。
健さんでも文太さんでもありません。
なぜ？
それは、堂々の主役ができるうえに、脇役でも光るから。
時代劇、ヤクザ映画、社会派ドラマに喜劇など全部できてしまう人だから。
殺陣をやらせれば日本でもトップクラス。
刑事をやっても、その上司をやってもサマになる。
これほど演技の抽斗が多く、どういう役でもこなす役者さんはいません。
別の意味では器用貧乏でもありました。
そして、思い切り損をした人だとも思います。
あれだけ巧い人なのに賞とは無縁。
時代劇が下り坂になり、鶴田浩二・高倉健の任侠路線になった頃は若手。
まだまだ主役はもらえませんでした。
実録路線の時代は文太さんが天下をとり、松方さんは二番手以下。
ようやく主役が回ってきたら実録路線は下火に。
その後、大作「修羅の群れ」で主演。
テレビの大型時代劇といえば松方弘樹。
映画では「真田幸村の謀略」などで主役を演じたものの・・・
大型時代劇映画も大作ヤクザ映画も作られなくなっていきます。
時代からちょっと遅れることが多く、損をした印象が強い松方さん。
私生活でも色々とあり、なんとなくヤクネタ扱いをされて活路をVシネマに求めたことも。
でも、私は思うのです。
後世の映画ファンは、必ず俳優松方弘樹を高く評価するだろうと。
松方さんの演技には、創意工夫がいっぱいでした。
手元にあるDVDを何度みてもうならされます。
もっともっと評価されていい役者です。
★ 「柳生一族の陰謀」で徳川家光を演じる松方さん
顔に痣があり、性格にも難がある異形の家光です。
こういう脇役の病的な雰囲気を漂わせる役の松方さんは絶品です。