福岡県糸島市 司法書士 ブログ

人的補償のドラマ

ライオンズがFAでホークスに移籍する山川選手の人的補償として

「和田投手を指名」

このスクープ報道が大きな波紋を呼びました。

 

結果は甲斐野投手が移籍することで決着しました。

しかし、上記の報道が誤報だったわけではないようです。

山川選手の獲得を決めた以上、ホークスは選手を供出するか金銭を払う。

山川選手のライオンズにおける年俸序列の関係上、これは避けられません。

ライオンズはホークスから選手を獲得することにしました。

その選択はプロテクトされた選手以外の選手に限られます。

限られるとはいえ、ホークスがプロテクトできるのは28名。

この数字は一軍登録選手より1名少ないのです。

将来を期待できる若手と現在の中心選手をプロテクトする。

これが基本方針でしょう。

この方針に従えば、和田投手はプロテクトされそうなものです。

しかし、43歳で年俸は推定2億円。

もしかすると、あと1年で引退するかもしれない年齢。

さらに、キャンプなどで故障すれば、そのまま引退の可能性も。

おそらく、そういう選手を指名することはないだろう。

こういう前提に立ったのか、ホークスは和田投手をプロテクトリストに載せなかったようです。

ホークス側の予想に反し、ライオンズは和田投手を指名。

これが事前にマスメディアに漏れたようです(あるいは意図的に誰かが漏らした)。

ある報道によると、和田投手はホークスフロントの説明に対し

「では引退します」

と答えたとか。

そして、ホークスとライオンズの交渉により、プロテクトリストに載っていた甲斐野投手が・・・

これは本当かどうかはわかりませんが、結果だけをみても大きな禍根が残ります。

①プロテクトリストは事実上機能していないのではないかという疑問

②レジェンド級の選手ならわがままが許されるーととられかねない結果

③和田投手クラスでもプロテクトしない球団に対するホークスの選手の不信感

④情報管理の甘さ

①②の問題については、かつてドラゴンズでも起きました。

全盛期を過ぎ、年俸が下がっていた岩瀬投手をファイターズが指名するという噂が流れました。

FAでファイターズからドラゴンズに大野捕手が移籍する人的補償として。

岩瀬投手は引退を楯に「事前拒否」、結果的にファイターズは金銭補償を受けることになりました。

岩瀬投手は引退することなく、次のシーズンもプレーしています(その後に引退)。

岩瀬投手は正式にファイターズから指名があったわけではありません。

今回は、結果としてホークス側からプロテクトしていた選手をライオンズに譲渡するトレードでした。

ここで、私がホークスのフロントにいる場合にはどうしたか、を述べてみます。

まず、和田投手についてはプロテクトしません

理由は、年齢と年俸の点にくわえ、ライオンズは先発投手陣が充実しているからです。

だから先発一筋の和田投手を欲しないだろう。

そして、和田投手には事前に「プロテクトしません」と告げます。

そのかわり、万が一、指名されて移籍する場合の条件として

①一定の功労金を支払う

②将来は必ずホークスにポストを用意し、「生涯保障」を約束する(そのくらいの選手です)

を伝えます。

「キミは我がチームの宝だ。それに変わりはないが、チーム事情をわかってくれ」

和田投手がそれでも「いやです」というかどうか。

それ以前に、山川選手を獲得しないと思います。

なぜなら、私はホークスフロントとして球団を経営する立場。

利害を十分検討するからです。

①ファン離れが起き(特に女性ファン)、入場料やグッズの収入が減る可能性がある

②一塁手として守備力の評価も高い中村選手との兼ね合い・・・ファンの目も意識

③山川選手は1年のブランクがあり、本当に来季の戦力として計算できるのかは疑問

こういったマイナス要素が多いのです。

1プロ野球ファンとしては、山川選手の再挑戦が許されるべきだとは思います。

でも、フロントとして考えれば、リスクが大きすぎるように思うのです。

そして、山川選手も1年間は低年俸になってもライオンズに尽くし、それを禊とするべきでした。

右の大砲が欲しいホークス、待遇がよいホークスに移籍したい山川選手。

この両者の目先の欲が今回の騒動を招いたようにみえます。

本当に和田投手が引退を口にして他の選手を犠牲にする結果を招いたとすれば、

和田投手も自責の念に駆られてしまうでしょう。

甲斐野投手はホークスを見返す気持ちで炎の160キロを投げ込み、飛躍する可能性があります。

これだけが救いかもしれません。

なお、情報管理の問題ですが、穿った見方をすれば、ライオンズが意図的にやったのかも。

ホークスを揺さぶり、和田投手を獲得できない場合はプロテクトされた選手を要求する。

最初からこういう作戦だったのではないかとも思ってしまいます。

ホークスの基礎を築いたのは寝業師根本管理部長。

この根本管理部長こそ西武ライオンズの全盛期を築いた功労者。

根本さんならそうしただろうな、と思ってしまいました。

ホークスは今シーズンは内部に火種を残す形でスタートします。

甲斐野投手をとられてしまいました。

全部ライオンズの思惑通りのようにみえるのです。

根本さんの策士ぶりを受け継いでいるのはライオンズフロントかもしれません。

 

 

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