ネット上の記事を2つ紹介します。
1本目は日経新聞の2011年8月の記事です。
=====
26日午前2時45分ごろ、福岡県久留米市上津町の暴力団道仁会の小林哲治会長(55)宅付近で
発砲や爆発音がしたと、近くの住民から110番があった。駆けつけた福岡県警久留米署員が、
機関銃や拳銃を持っていたとして、会長宅の敷地内にいた男を銃刀法違反容疑などで現行犯逮捕。
男は手りゅう弾とみられる爆発物を投げたとみられ、同会系組員(30)が重傷を負った。
県警によると、男は住所不詳、職業不詳、巌野平一容疑者(78)。同容疑者は「会長を殺すために侵入した」
と供述、手りゅう弾を爆発させたことを認めているという。
=====
続いて2本目は2年半前の週刊朝日の記事です。
=====
神戸市中央区の指定暴力団六代目山口組直系「弘道会」神戸事務所前で今年8月、
弘道会系組員が銃撃を受けて重傷を負った事件で、兵庫県警は12月3日夜、
殺人未遂と銃刀法違反の疑いで、対立組織の神戸山口組直系「山健組」組長、中田浩司容疑者(60)を逮捕した。
県警は中田容疑者が銃撃の実行犯とみている。
=====
11年前の段階でヒットマンが78歳。
超高齢化です。
2年半前には60歳の現役組長自身がヒットマンになっています。
しかも山健組といえば、山口組内ではトップブランドだった組織です。
そこの組長が自らヒットマンになる。
かつてはヒットマンは将来が有望視される若手の登竜門でした。
ヒットマンとして敵対組織のトップを殺害する。
それなりの期間の服役を経て、幹部として組に復帰。
つまり、ヒットマンの経歴は「勲章」だったのです。
ある程度の勲章がなければ上に立てない世界でした。
「仁義なき戦い 代理戦争」でも組長を継ぐよう勧められたマイトガイ扮する武田がいいます。
「(自分は)人の上に立つほど勲章を持っとらんしのう」
ところが、11年前のヒットマンは78歳です。
そして最近の事件は大手組織の組長自身。
今やヒットマンを務める若手がいないのです。
暴対法により基本的人権を侵害されるような扱いを受けるやくざ。
仮に、ヒットマンを務めたとしても将来が不安です。
服役期間も長くなりました。
初老の年齢で出所しても組が存続しているかどうか?
存続していたとしても、敵対組織と和解して仲良くやっていれば、居場所はありません。
厄介者(ヤクネタ)扱いです。
服役中の家族への手当など福利厚生もなくなりつつあるといわれています。
ヒットマンは若手が勲章を手にするチャンスではなくなったのです。
その代わりに、やくざとしてパッとしなかった高齢者が、最後のひと花を咲かせようとします。
まさに「死に花を咲かせる」ための役割です。
さらには、トップ自身がヒットマンになるほかないくらいに人材不足が深刻に。
一般社会でもこういう現象が起きていないでしょうか?
「仁義なき戦い 頂上作戦」で文太さん扮する広能のように
「そっちらとは世界が別で!」
と我々はやくざ社会に対して言い放つことができるでしょうか?
★ 映画「悲しきヒットマン」の三浦友和さん(当時37歳)
友和さんは今年70歳になりました。
「令和の悲しきヒットマン」を制作するとすれば、主演していただける年齢です。