吉行淳之介さんは私が好きな作家の一人です。
亡くなられてもうすぐ27年になります。
時がたつのは早いものです。
初めて吉行さんの文章を読んだのは中学校の教科書でした。
今から考えると,中3の教科書に吉行というのは,何とも早熟なイメージです。
男女の性を追求した作家の文章が中学校の教科書に載っているのですから。
その後,私はいくつかの作品を読み,吉行さんが描く男性主人公の女性への対し方に惹かれていきました。
おそらく私と似たにおいを嗅ぎとったのだと思います。
感覚が合う―それをはっきりと感じたのでした。
高校で古文・漢文と現代国語の両方を習った若い女性教師と話していて,それを言うと,
「高橋君って真面目なようで結構悪いんじゃないの?吉行の女性観が合うんでしょ?う~ん・・・」
という言葉が返ってきました。
後に知ったのですが,吉行さんにはミソジニーの傾向があるといわれているのです。
なのに,女性がそばにいないと寂しいというアンビバレントな心を持っている。
私にミソジニー? それはないと思いたいのですが・・・。
女性に信頼感を抱けない青春時代を過ごしたことを考えると否定するだけの自信はありません。
女性がそばにいないと寂しいという点はそのとおりですが。
その吉行作品を愛し,私と部分的に重なるような青春時代を送った人がいました。
その人は昨年1月に亡くなった著名な作家ですが,そのお話はいずれまた。