ある日のことでした。
有名出版社から電話がかかってきました。
私の事務所を取材したいというのです。
しかも、メジャーな女性ファッション誌の編集者からでした。
遂に私もグラビアを飾るのか・・・
モデルのような歩き方を練習するのはつらいかもしれないな・・・
そう思ったのですが、内容は
「悩める30~40代の女性に寄り添う司法書士事務所」
というようなことらしく、私をビジュアル的に売り出す話ではないようでした。
はて?30~40代の女性に寄り添っているか?
どちらかといえば、70~80代の高齢者からの依頼を多く受けています。
その方々は認知症等で成年後見制度の支援を求めているのです。
されに、「〇日から●日くらいに福岡に取材に行くので、その際に・・・」
というお話の先に、
「取材費用として約30万円くらいがかかるのですが・・・」
なんだ、ギャラはたった30万円か・・・
ではなく、私がその費用を負担するという話でした。
つまり、私が費用を負担して事務所を宣伝するような話のお誘いなのです。
私は即座に断りました。
「依頼が殺到し、これ以上忙しくなってしまうと過労死しかねないので」
勿論ウソですが、こういう断り方は効果的なのです。
断った後で、
「これはもしかして新手の詐欺だったのではないか?」
こういう疑問が頭を過りました。
後日、確認したところでは、この依頼はホンモノだったのです。
ちなみに、12月号の表紙は高い人気を誇る女優さんが飾っています。
1・2月合併号も同様に大人気の女優さんが表紙。
もしかして、共演のチャンスだったのかも・・・
でも、私としてはお断りです。
わざわざおカネを払って宣伝したいとは思いません。
「市役所の戸籍謄本等を入れる封筒に宣伝を出しませんか?」
「自治会の回覧板に宣伝を出しませんか?」
「市役所にポスターを掲げませんか?」
全部「お・こ・と・わ・り」です。
そこには「宣伝文句」が並びます。
「相続ならすべておまかせ!」
「紛争解決にも対応」
「債務整理なら経験豊富な当事務所へ」
私にはできません。
恥ずかしいのです。
どうせなら、昔の映画ポスターの惹句みたいなものだったら面白いかもしれません。
「訴訟代理で通れば 訴訟代理で散る
こいつの名はたしか夜桜英樹
だが、福岡県司法書士会にとっては
しょせん一匹の野犬」
★ 文太さんが最高にカッコいい映画です。
「拳銃で通れば 拳銃で散る こいつの名はたしか夜桜銀次
だが、山口組にとっては、しょせん一匹の野犬」
古い映画のポスターにはこういう惹句が躍っていました。

