どの作品だったのかは忘れましたが,ボンド役がショーン・コネリーだったことだけは間違いありません。
007シリーズに登場するMI6のボスである“M”に呼ばれたジェームズ・ボンドの会話シーンです。
ボンドが部屋に入ると“M”が蝶を展翅(標本を作る作業です)しています。
それをみたボンドがその蝶の学名を口にするのです。
こういう生物にかんする知識は教養ある英国紳士らしさを表しているのです。
ジェームズ・ボンドは生粋の英国紳士である―これを表現するシーンでした。
しかし,残念なことに字幕では単に「小さなタテハチョウですね」程度の訳になっていたはずです。
さて,我々司法書士に求められる教養とはどういうものでしょう?
決済の場で座持ちをよくするための世間話をこなせるくらいの時事ネタ?
それも必要でしょうし,一種の噂話程度もこなす必要があるかもしれません。
そういうことには長けた人もいそうですが,法律を学ぶあるいは理解する前提の教養は大丈夫か?
最近になってその点を自問自答しました。
私は“M”が映画でやっていた展翅はベテランですし,蝶や植物の学名の知識もまあまああります。
動植物の生態にかんしても永年の修練で身につけた観察眼はそうひどいものではありません。
ですが,とてもではありませんが学ぶ者にふさわしい教養は身についていません。
特に基礎法学は・・・法哲学と法思想史の講義を大学で受講し,ケルゼンとH.L.A.ハートをちょっと読んだくらい。
最近になってラートブルフやヘーゲルなども読んでおけばよかったと後悔しています。
ま,今からでも遅くはないのですが。