早川書房のポケットミステリとして出版された「死者の国」。
作者は、ジャン=クリストフ・グランジェ。
映画化されて大ヒットした「クリムゾンリバー」の作者です。
フレンチミステリが好きな私としては、非常に楽しく読んでいます。
その中で面白い記述を見つけました。
主人公の警察官は離婚調停中。
この離婚調停に「母親ルール」なるものが存在するという話です。
勿論、成文法のようなものではありません。
家庭裁判所の調停の進め方の傾向です。
子供は幼少時は母親と過ごすべきだ。
こういう考え方に基づいて、母親に親権を付与することが多いというのです。
我が国でも同じ傾向があるとされています。
かつてのフランスは、親権は父親が持つものとされていました。
これが1980年頃に共同親権を原則とする法制に変わったのです。
ミステリを読む中で海外の法制についての実情を知る機会があるとは思いませんでした。
なお、この作品は親権がテーマではありません。
かなりどきつい性癖に関する記述が多いので、読むかどうかは各自ご判断を。
傑作といえる出来栄えであることは間違いありませんけれど。
★ かなり厚い本です。2段組みで700頁を超えます。