名 刺1
会社に勤務している際に名刺をお会いした相手に渡す機会は少なくありませんでした。
一度こういわれたことがあります。
「なにもないんですか?」
これは名刺にある肩書に気がつかず,「おたくはヒラ社員さんですか?」という意味でした。
当時の私の役職は「センター長」というもので,
◆◆損害保険株式会社
▲▲センター長
高橋英樹
という名刺の記載になっていました。
これが私の部下の場合は,
◆◆損害保険株式会社
▲▲センター
主任 坂井鉄也
のようになっていたので,私には肩書が何もないようにみえたらしいのです。
名刺の記載を指で示して役職者であることを告げると,急に態度が慇懃なものになりました。
人は肩書に弱く,それを気にするのです。
名 刺2
そのせいか,名刺にやたらと肩書を印刷している人がいます。
これは人の心理を正確に把握し,「位打ち」のような効果を期待しているようにみえます。
中には卒業した大学名や武道の有段者であることを印刷している人もいます。
名刺に印刷すべきことなのかな?と思いますが,本人は満足しているのでしょう。
そういう名刺を頂戴すると微笑ましいけど,私には少し気恥ずかしいものがあります。
きっと自慢なんだろうなぁ,でもちょっと・・・みたいな感じです。
私は以前は名刺を2種類使っていました。
会社員として会社から与えられたものと個人で作ったものです。
個人で作った名刺は会社員としてではなく私人として趣味の世界で使っていました。
趣味の世界でどこの会社に勤務しているとか,どういう肩書があるとかは関係ありません。
名前と住所に電話番号,メールアドレスのみの印刷でした。
アクセサリー
こういった名刺の肩書はその人を飾るアクセサリーのような機能を持っています。
上記のように,人は肩書に対して頭を下げることがあります。
肩書の数が多ければそれだけ恐れ多い人になるという感じです。
名刺に印刷せずとも,「自分は〇〇社の社長と懇意である」とか「経済団体の中で顔が利く」
「■■事務所の弁護士は実質的に自分が指導して育てた」「市長の私的ブレーンをやっている」
といったことを強調し,自分が大物であることを印象付けようとする人もいます。
私は肩書や自己宣伝の言葉に一切興味がありません。はっきりいってどうでもいい話です。
わざわざ相手に強調したいのは,なんとか優位に立ちたいという焦りであるようにみえます。
だから「微笑ましい」のです。
そういう話は概ね7割増しくらいの内容で,事実とはかけ離れていることが多く,聞くだけ無駄です。
ある人に「★★さんはおたくの顧問らしいですね」と言ったところ
「はぁ?あの人は外でそんなことを言っているのですか?向こうが頭を下げて・・・それをあの人はそんなふうに・・・」
という話になったことも(笑)。予想どおりの反応でした。
自己宣伝の言葉はアクセサリーにはなりますが,本物の宝石ではなくイミテーションです。
イミテーションには興味はありません。
「本物」は実際に会って話せばわかるもの。そして「本物」はそういう自己宣伝はしないものです。
※上記に登場する「坂井鉄也」は映画「仁義なき戦い」の登場人物です。
私が勤務した損害保険会社には在籍しておりません。念のため。