司法書士なら誰でも受任可能な業務のひとつが破産手続開始の決定を求める書類作成。
これは裁判書類作成業務で、簡裁訴訟代理権を有するかどうかは無関係。
破産事件は地方裁判所の管轄です。
司法書士は、代理人としてではなく書類作成者として関与するのです。
この種の仕事は、司法書士の間では不人気です。
取り組む人が意外なくらいに少ないのです。
作成する書類は定型的で、そう複雑ではありません。
企業倒産ではかなり面倒になりますが、個人の倒産に関してはやさしいといえます。
それでも受任する人が少ないことには理由があるようです。
まず、受任から完了(免責決定)まで約半年くらいかけることになります。
これは破産手続開始決定から免責許可決定が出るまでの期間が法定されているから。
短期間で終わらないようになっているのです(債権者保護のためでもあります)。
次に、高い報酬を望めません。
破産手続を選ばなければならない人は、当然ながら豊かな経済状況ではありません。
第三として、イメージが「暗い」のです。
司法書士の仕事としては、比較的容易な書類作成業務であるにもかかわらず、
受任する人が少ないのは、このあたりが理由のようです。
倒産法は司法書士試験で受験科目とされていません。
だから、わざわざ勉強するのが面倒という理由も考えられます。
私は「もったいないな」と感じています。
破産事件は色々な面で勉強できる点が多いのです。
あえて詳しくは書きませんが、対応力をアップさせることにつながることは間違いありません。
倒産法を学べば民法の理解も深まるでしょう。
依頼者の人生の再スタートを応援する業務でもあります。
まさに「明日への扉」*を開く仕事です。
もっと多くの司法書士が取り組めばいいのに。
*T-SQUAREの「明日への扉」です。アルバム“HUMAN”に収録された1993年の曲です。