福岡県糸島市 司法書士 ブログ

指を詰めろ!

「指を詰めろ!」

青年が私に向かって叫びました。

私もまだ青年でした。当時24歳。

被害者は少年。その代理人が中年で、中年の手下が青年。

少年の両親は離婚して別世帯扱いでそれぞれ生活保護を受給中。

なのに、

「入院中の少年に付き添ったから仕事を休んだ。休業損害を払え!」

という要求がありました。

加害者は白髪を黒く染めて生活保護の支給日に町役場前で張り込みました。

その結果、父母ともに生活保護を受給していることが判明したのです。

二人で連れだって町役場にやってきたそうです。

当時は振込ではありませんでした。役場に出向いて受け取ることになっていました。

私の手元にはそれぞれから提出された「作業員」としての休業損害証明書がありました。

生活保護費を受給しながら休業損害を請求。

生活保護費の不正受給の疑いが濃厚です。

だから

「休業損害は発生していませんから払えませんよ」

という回答になりました。

すると、代理人が手下を連れて会社に乗り込んできました。

この種の「特攻」みたいな行為は日常茶飯事でした。

適当にあしらっていたのですが、なんと

「指を詰めろ!」

とまでいわれてしまいました。

「仁義なき戦い 頂上作戦」における文太さんのセリフで返すべき場面です。

「そっちとは世界が別で!」と。

しかし、真面目に

「そういう社会的慣習はないのでお断りします」

と答えました。

「誠意をみせろ!」

「そちらがおっしゃる誠意とは?」

「誠意をみせろ!指を詰めろ!」

青年は内容を知っているわけでもなく、単に絶叫要員として連れて来られたようでした。

中年の代理人は左手小指を詰めています。

青年も私と同年齢くらいなのに既に左手小指がありません。

「この人たちは何をしくじったのだろう(こいつら、どんな下手打ったんじゃ)?」と思いました。

思うだけで訊ねるわけにはいきません。

結局、それなりに騒いで満足したのかお帰りになりました。

後日、中年の代理人さんは町議会議員となっています。

この件の示談から7年後に感動の再会を果たした際に得意気に名刺をくれました。

町議会の文教委員という肩書になっていました。

指を詰めた文教委員。

なかなかの人物だと思います。教育行政に造詣が深いのでしょう。

青年はどうしたのでしょうか?

再会の席にはいませんでした。「旅」に出ていたのかもしれません。

私も忘れていて消息を聞きませんでした。 

 

 AKB48による舞台「仁義なき戦い」の一場面

広能昌三が指を詰めるところです。

博多座に義母とみに行きました。

 

 

 

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