私は、これまでに12回の引っ越しを経験しています。
転勤の多い損害保険会社に勤務したための回数の多さです。
この12回の引っ越しのうち、自分の意思で引っ越したのは3回。
あとは会社命令による転勤です。
最初の引っ越しは、進学して京都に住むための際。
これは自分の意思です。
次の自分の意思による引っ越しは、最初の勤務先を辞めたときです。
水戸市からさいたま市に転居しました。
そして、3回目の自分の意思による引っ越しは、今の自宅を建てた際です。
実は、実現しなかった引っ越しがあります。
それは学生時代、2回生を終える3月のことです。
もう少し孤独になることが可能な環境を求めて引っ越しを検討していました。
私は風呂やシャワーがないとイヤななので、そういうワンルームマンションを探したのです。
当時の私の部屋は風呂がついていませんでした。
ワンルームマンションはまだ多くなく、住んでいたアパートと同等の家賃ではみつかりません。
しかし、2部屋ほど格安の物件が見つかりました。
大学からはかなり離れてしまうのが問題でした。
それでも引っ越すつもりでした。
断念したのは、ある女性からの懇願があったためです。
「遠くに行っちゃイヤ!私をおいていかないで!」
というセリフでもあれば、カッコいいのですが・・・
残念ながら、まったく色っぽい話ではなく、本当は無視しても問題ない話でした。
なのに私は受け容れています。
自分にとっては何のメリットもない話なのに、ついつい情にほだされる。
寧ろ、デメリットがあるとわかっていても、なぜか承諾してしまう。
その女性にはなにかれとなく気を遣ってもらったのはたしかです。
その後もこの女性からの頼みを断れなかったことが何度かあります。
すべて断ってもよい話だったのですが、断ったのは一度だけ。
これだけは断らないと、という話でした。
彼女は、私が断れないことを知っていて頼んだように思われます。
無自覚だったはずですが、うまく私を使ったようです。
頼みを聞き容れた私は、結果的には、ひどく後悔することを繰り返しました。
義理と人情に弱いといえばそれまでです。
しかし、明らかに自分の弱点です。
この年齢でようやく気付いた次第です。
次に引っ越すときも自分の意思に基づく決定にしたいものです。
でも、また家を建てて引っ越すようなことをするのか?
たぶん、しないような気がします。
★ 「義理と人情」といえば、「昭和残侠伝」シリーズ
健さん演ずる花田秀次郎と池辺良さん演ずる風間重吉
2人の義理と人情の世界が鮮やかに描かれます。