「高橋さん、サラリーマン時代から年収倍増しました?」
この種の質問をしばしば受けています。
どうやらサラリーマンは低所得に喘ぎ、日々のやりくりに四苦八苦する存在らしいのです。
一方で、独立開業の士業は高額の報酬を貪る存在ということになっているようです。
士業の収入にバラ色の未来を思い描くーこういう学生はたしかにいました。
しかし、現実はそうでもないのです。
司法書士の仕事は「単価」があまり高くありません。
そうすると数をこなすかどうかが高収入を得るかどうかのポイントになります。
それを1人でやるとすれば、コピペ産業みたいなことになりかねません。
丁寧に仕事をやると儲からないという側面があります。
人の満足感は様々です。
年収を訊きたがる人は経済的に恵まれることを第一に考えるのでしょう。
それは間違いではなく、極めて正しいと思います。
おカネがあれば、色々なことを実現できますので。
ただ、上記のようなコピペ産業に陥ってしまうと、おカネに仕えているような感じになりかねません。
受任した事件について、きっちり仕上げるのは作品を作ることと同じです。
自分の作品である以上は、その仕上がりに満足感がなければ、仕事の時間は空しくなります。
その結果として、いくばくかの報酬を手にする。
このくらいの感覚で過ごしていると、儲けを云々する気分にはなりません。
では、この感覚が真理なのかといえば、決してそうではありません。
おカネを第一に考えてビジネスに邁進するのは大いに結構です。
結構ではありますが、依頼人を大事にできているかどうか?
この点のセルフチェックを怠らない方がいいでしょう。
特定のフォーマットを使ってコピペを推奨する人ほど、依頼人の事情などを覚えていない印象です。
事務所経営や生活の向上という観点からは「儲ける」という意識を大事にすべきです。
それが極端にならないバランス感覚を持つことができるかどうか?
冒頭の問いを発した人は
「夢は年収1000万円」
であるとのこと。
「じゃあサラリーマンをやった方がいいですよ」
と勧めておきました。
残業&休日出勤は既に幻想。
現在のサラリーマンは非常に恵まれた立場になっているのです。
★ 今の時代に「24時間働けますか?」ということはありません。
どの企業も20時にはパソコンが強制ダウン。ビルも消灯。
伊藤忠商事は、その結果として従業員の子供が増えたそうです。
少子化対策のヒントになりそうなエピソードです。