私は事件の容疑者になったことがあったようです。
1999年のことでした。
佐賀県警の警察官(私服)が2人ほど私を訪ねてきました。
佐賀駅前で女性の連れ去りと強盗事件が起きたというのです。
私の勤務地は佐賀駅の前。駅が正面にみえるビル。
それで「心当たりがないかと思って・・・」と刑事さんが示した似顔絵をみて驚きました。
似顔絵レベルではないのです。子供の落書きみたいな絵で、イラストみたいな感じ。
四輪駆動車に押し込まれ嘉瀬川の河川敷に連れて行かれた女性は財布を奪われたそうです。
駅前で女性が拉致される現場を目撃すれば通報します。
2人のうち1人は黙って無表情で私をみつめていました。
「このマンションは嘉瀬川から近いので順番に話を聞いている」
ということでしたが、2人は最上階の角部屋にいる私のところを訪ねた後、
帰って行きました。駐車場をスタスタ歩いて行く2人をみながらピンときました。
「そうか、ワシは容疑者なんや!」
私が持っていた車は四輪駆動車。
嘉瀬川の河川敷をよく走っていました。
進んだり止まったりと、周囲から見れば「不審な動き」を繰り返していたはずです。
しかも、途中で降りてみたり、すぐに乗り込んだり。
こういう動きをしていたのは、タテハモドキ Precis almana の侵入を確認していたから。
蝶を調べるために車を河川敷に乗り入れていたのです。
無表情な刑事は私の表情の動きなどを観察していたのでしょう。
「シロ」
という判断になったようで、その後に私は何も訊かれませんでした。
それにしても警察の情報収集力はすごいな。
四輪駆動車の持ち主かつ嘉瀬川河川敷に土地鑑がある男をすぐに割り出したようです。
もっとも、この時代のように防犯カメラがあれば、犯人の男はもっと早く特定できたに違いありません。
防犯カメラに頼る結果、警察官の聞き込みの能力が落ちたという話も耳にします。
さて、この事件はどうなったのでしょう?
強盗事件という話でしたが、マスメディアでも報道されていませんでした。
本当に強盗事件だったのか?
もしかしたら警察官はかまをかけたのか?
私が引っかかって
「いや、強盗とかしてないですよ!ちょっと触っただけですから、ほんとにちょっとです!」
とでも口にすると期待したのか。
結局、事件の顛末はわからないままになっています。
★ 私への容疑は晴れたようでしたので,冤罪問題には至りませんでした。