損保会社の従業員時代に右翼団体の方々とも何度か交渉をしています。
「怖いでしょ？」といわれましたが，怖かったことは一度もありません。
右翼・・・なぜ，怖がるのでしょう？
街宣車がいかめしいからか，それとも街宣自体が恐ろし気だからか？
実は右翼団体の人はコワくありません。
結構ユーモアを解し，ほがらかな人が多かった印象です。
その１ 日教組粉砕に協力してください！
社会人になって３年目にお会いした右翼の方からお願いされました。
「日教組は日本のためにならない集団です。日教組粉砕に協力してください！」
示談交渉に介入したAさんは特に厳しいことをいうでもなく，提示額をそのままOKされました。
Aさんは伝統ある右翼団体の一員でした。
その２ 出てきたばかりだ！
出所した直後に示談に介入したBさんは，私の前任者に恨みを抱いていました。
前任者の名前を連呼する街宣をやったことがあったそうです。
被害者である女性の代理人として介入。
「オレは一昨日刑務所から出てきたばかりだ」
怖がらせたいみたいですが，怖くありません。
内心は「なんの下手を打ったんじゃ？」と思いながら「威圧」されたフリをします。
ひとしきり前任者の悪口を喚き散らし，それを私は聞き流しました。
突っ込みどころもなく延々と愚痴を聞かされただけなので面白くなかったのです。
提示額に対しては「こんなもんでハンコつけるか！」と怒鳴りましたが，
最終的には被害者女性が署名・押印して解決しました。
その３ 手を振ってくれるその人は・・・
その日は日教組の教研集会が開かれるために全国の右翼が集結して街宣を繰り広げていました。
ビルから街宣車を観賞したりして上司と楽しんでいました。
「おっ，竹下さんを褒め殺した団体が来てる」
みたいな感じです。
ランチを終えて会社に戻ろうとする私の横を通る街宣車。
手を振ってくれる人がいます。
Aさんでした。
「〇〇社の高橋さん，こんにちは」
とマイクでやられたら恥ずかしいな，と思いましたが手を振るだけで終わりました。
Aさんは元気に日教組粉砕に邁進しているようでした。
その４ 社会正義のためだ
あるバス会社が高速道路で速度違反を繰り返している。
社会正義の観点から許し難い！
この点を持ち出して交通事故の示談交渉に介入した右翼Cさん。
事故の加害者がバス会社で被害者がCさんのところの若い衆Dさん。
弱みを突いてカネにしようとする・・・なにが社会正義じゃ！
こう思うのですが，ハイハイと聞かなければなりません。
この件はバス会社がかなり震え上がり，弁護士さんが介入して解決しました。
その後，なぜかCさんは私に情報をくれるようになったのです。
「あの被害者は会社に勤務していることになっているでしょう？
実は生活保護受給者ですよ！不正請求を許してはいけません。
社会正義の実現のために頑張ってください」
みたいな電話がかかってくるのです。
おまけにDさんの破門状や暑中見舞い，年賀状が私に届くようになりました。
部下の女性からは
「気が合うんですね」
と笑われてしまいました。
★ 映画「ミンボーの女」の中尾彬さん。
私の記憶が正しければ，ホテルを強請って右翼の街宣車で暴れていたはずです。
～本編は後編を予定しておりますのでご期待ください～