NHKで「離島で発見!ラストファミリー」という番組が放送されています。
先日、宮崎県の大島がとりあげられました。
この大島は日南市にあります。
が、私にとっては南那珂郡南郷町大島。
私が初めて訪れたのは1991年でした。
その頃は、まだ人が暮らしており、民宿も存在しました。
釣り目的のお客さんが訪れていたのです。イシダイなどが釣れるそうです。
2015年に無人になってしまったそうです。
1991年のその日、私は思い出に残る経験をすることになりました。
我が国には分布していないカワカミシロチョウ(♀)を採集したのです。
これは迷蝶です。
迷蝶とは、種として持つ習性である移動性に風などの要因が加わり,
分布していない地域で採集された蝶を指します。
当日は、その前に人生初の迷蝶採集を経験していました。
採集したのはアマミウラナミシジミ。
これは本土には分布しないものの屋久島などには分布しています。
大島では飛来したアマミウラナミシジミが発生する条件が整っていました。
食樹であるモクタチバナが民家の垣根に使われていたのです。
そのため、最初からアマミウラナミシジミを採集できることは予想していました。
ですが、カワカミシロチョウに出会うとは思いもしませんでした。
この個体は、しばらくはカワカミシロチョウ採集の北限記録になっていました。
さて、この大島ですが、ほかにもリュウキュウムラサキに出会ったこともありました。
この蝶も国内分布が確実ではない蝶です(本土にはまったく分布していませんが、
沖縄本島以南では定着しているのかどうか・・・という状況)。
以前は鹿児島県以南しか分布していないと思われたツマベニチョウも発見されています。
私も飛翔する個体を目撃しています。
ツマベニチョウが生息するのは、宮崎県では鵜戸神宮と大島だけ。
大島は蝶を調べる者にとっては、なかなかのワンダーランドでした。
ところが、上記したように今や無人島。
それでも、元島民だった人たちは愛情をこめて島を管理しているようです。
蝶の島として草刈りや吸蜜源となる植物の植栽などを行っているそうです。
アサギマダラは普通種ですが、長距離を旅する蝶として有名です。
その吸蜜源としてフジバカマをたくさん植えたようでした。
そういったアドバイスは、私も親交があった蝶の研究家がしたとのこと。
久々に「大島」と聞き、映像を見て郷愁をそそられるような気分になりました。
★ ツマベニチョウ Hebomoia glaucippe の♀個体
これは日南市のホームページに掲載されている写真です。