毎年4月末になると,有斐閣から年度別「重要判例解説」が出ます。
前々年11月1日から前年10月31日までの判決を対象としているので,
厳密には年度別ではありません。
有斐閣から出る通称「重判」以外にも日本評論社が出す「私法判例リマークス」など
年度別判例解説の本がありますが,私は一貫して「重判」を購読しています。
理由は,たまたまです。特にありません。
今年も「重判」が出ました。
その中で特に注目したのは,以下の4つの判例でした。
1 最高裁令和2年2月28日第二小法廷判決・・・使用者責任と逆求償
2 最高裁令和2年9月11日第二小法廷判決・・・請負代金と瑕疵修補に代わる損害賠償請求が
本訴・反訴として係属中にする反訴での本訴請求権による相殺
3 最高裁令和2年7月16日第一小法廷判決・・・女性器をスキャンした三次元形状データファイルの
わいせつ電磁的記録物該当性およびその頒布の正当行為としての違法性阻却
4 最高裁令和2年9月16日第二小法廷決定・・・医師でない彫り師によるタトゥー施術行為と医師法
17条にいう「医業」の内容となる医行為
詳細は「重判」を読んでいただくとして,特に面白く読んだのは上記2の理論構成でした。
生の判例に接することで,事務的な実務が何に基づき,何のためにあるのかを考える機会になるので
判例を読むのは楽しいです。尤も,解説には書き手ごとのバラつきがあるので,どこまで読むかという
問題がありますが。